ヒグマ駆除をめぐり猟銃の所持許可を取り消された北海道猟友会砂川支部長の池上治男さんが、証拠品として押収された猟銃を無断で廃棄されたとして、国と北海道を相手取り国家賠償請求訴訟を起こしました。池上さんは8月17日に記者会見を開き、改めて怒りをあらわにしました。


 池上さんは2018年にヒグマの駆除を行った際の発砲をめぐり、北海道公安委員会から猟銃の所持許可を取り消される行政処分を受けました。池上さんはこの処分を不服として裁判で争い、2024年3月に最高裁で逆転勝訴を果たしています。

 しかし、所持していた猟銃4丁のうち、発砲に使用したとして検察庁に証拠品として送付されていた1丁が、裁判の係争中に廃棄されていたことが判明しました。所有権放棄書に署名したことを根拠に廃棄が行われたということです。

 池上さんの代理人を務める中村憲昭弁護士は会見で「違反の事実を真っ向から争っている事件の中で、所有権放棄書を作らせること自体がおかしい。仮にそうした書面があったとしても、行政不服審査を申し立てた時点で、池上さんが銃の処分について争っていることに気づくべきだった」と主張しました。

 また池上さんも会見で「最高裁で私の行動は正しかったと認められた。それなのに、裁判で争っている最中に証拠品を廃棄するなんてあり得るのか。十分な説明もなく、だまされたとしか思えない」と怒りをにじませました。

 池上さんによりますと、最高裁判決後に公安委員会側から銃の返還と謝罪があった際、返却されたのは別の銃で、発砲に使用した猟銃が廃棄されていたことはその時まで知らされていなかったといいます。

 池上さんは「返してくれと審問委員会の時からずっと言ってきた。裁判の最中に証拠品を廃棄していいのか」と訴えました。

 今回の訴訟の被告は国と北海道で、銃を廃棄した滝川区検の検察官を所管する国(法務省)と、公安委員会を所管する北海道の双方を相手としています。請求額は銃とスコープの代金や慰謝料など42万9750円です。


■池上氏のもとには全国のハンターや市民から激励の声

 中村弁護士は違法性について2点あると説明しています。1つ目は、真意に基づかない所有権放棄書を書かせて銃を廃棄させた点。2つ目は、仮に1点目が問題にならないとしても、行政不服審査請求がなされた段階で、池上氏の真意ではなかったと気づくべきだった点です。

 また中村弁護士はあくまでも推測だとしたしたで「公安委員会が”故意に”廃棄させたのではと考えている。検察官の手を使って外形的に正当な手続きを装い、銃を捨てさせたのではないか」との見方も示しました。

 池上さんのもとには最高裁勝訴後、全国のハンターや一般市民から多くの激励が寄せられているということです。

■地検「法令等に基づいて適正に廃棄した」

 今回の訴えについて、北海道警察監察官室は「訴状が届いていないのでコメントは差し控えさせていただきます」とコメントしています。

 また札幌地検は「報道は承知しているが提訴については訴状の送達を受けておらずコメントを差し控える。検察庁において本件ライフル銃について法令等に基づいて適正に廃棄したことについては従前説明したとおりである」とコメントしています。

 札幌地検はこれまで「廃棄した手続きは適正に行われた」とした上で、「不起訴処分後から破壊・廃棄までの期間は問題ないと考えている。放棄書を書いてから最高裁の判決が出て返還される日ごろまでは、弁護人も池上さんから返還の要求はなかった」と説明していました。

北海道文化放送
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