毎年9月1~3日に富山市八尾地域で行われるおわら風の盆で、行事開催に必要な資金調達のため今年初めてクラウドファンディングを行い、目標の500万円を超えました。
300年以上続く伝統行事が資金不足に陥っている現状を追いました。
二百十日の風封じ五穀豊穣を願い、住民が三日三晩にわたり唄や踊りを繰り広げる伝統行事「おわら風の盆」。
編笠をかぶった踊り手が三味線や胡弓の音色に合わせて静かにまちを練り歩き、訪れた観光客を魅了します。
300年以上続くおわら風の盆ですが、継承する11の町では運営資金を捻出するため「おわら風の盆を、次の100年へつなぐ」と題し、今年5月から不特定多数の人から資金を集めるクラウドファンディングに踏み出しました。
*おわら風の盆行事運営委員会 本多正男事務局長
「今年の物価の上がり方から考えると1割くらいは上がる。最低の額で500万を設定した」
おわら風の盆の年間運営費は約6000万円。
内訳は運営スタッフの人件費や水道光熱費などが最も多く1900万円で誘導や警備費が1200万円などと、8割ほどが運営や来場者の安全確保、利便性の向上のために充てられています。
これまでは企業からの協賛金や富山市からの補助金をもとに運営を続けてきましたが人件費の急騰や物価高に加え、少子高齢化に伴う担い手不足に直面し、行事開催に必要な資金の調達に苦慮していると言います。
*おわら風の盆行事運営委員会 本多正男事務局長
「(かつて)演舞場では3000万くらいの収益性があった。それが(老朽化やコロナ禍をきっかけに)なくなってしまった。そういうところで運営が苦しくなった」
クラウドファンディングは今月7日の締め切りを前に目標額の500万円を超え、集まった支援金は後継者育成の取り組みや来場者増加に伴う環境整備に使用される予定です。
*おわら風の盆行事運営委員会 本多正男事務局長
「皆さんの協力が日々高まっていくところを見て安心した。『ありがとうございました』の一言に尽きる」
伝統行事の資金難や担い手不足の問題は、南砺市の「城端むぎや祭」でも見られます。
去年、開催された祭りに合わせ、ふるさと納税と同じ仕組みで税控除ができるガバメントクラウドファンディングを初めて行い、集まった16万円余りを運営費に充てました。
伝統行事の資金難を克服し次の世代へつなごうという模索は、県内だけでなく全国でも同じ傾向が見られ、和光大学の長尾洋子教授は「クラウドファンディングが新たな可能性に繋がるきっかけになる」と指摘します。
*和光大学 長尾洋子教授
「賛同者が多く得られるようであれば、その方たちとの関係性を深めていく。クラウドファンディングを続けていくのも1つの考え。それをきっかけに違う効果を探るという可能性もある」
おわら風の盆行事運営委員会によりますと、今年行ったクラウドファンディングについて、来年以降も続けるか決まっておらず、規模を縮小し運営資金を減らすことも選択肢のひとつとなっているとしています。
