働けない自分には価値がない。

成果をあげられない自分はひとりの人間として尊重されるに値しない。

時間に余裕ができたら、それは自分が必要とされていない証。

人に評価されないと、ここにいていいと思えない。

存在しているだけでは、価値がない(と思い込まされている)。

(イメージ)
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今私が携わっている働く人の孤独感や孤立の研究の中で、「役に立っていないと、組織に所属してはいけないと感じる」という、日本人労働者に特有の傾向があることがわかっています(韓国、台湾と3か国の比較研究で明らかになりました)。

「役に立っていないといけない」という価値観は、私たちを「つながり」から遠ざけます。
私たちは、知らず知らずのうちに、こうして自分で自分を追い込んでしまっているのかもしれません。

生産性の評価軸は手放していい

では、どうしたらいいのでしょうか。

率直に言いましょう。

このような評価軸は、「ない」のです。

いつでも手放すことができます。

そもそも価値観は、そのときの社会や時代の影響を受けています。弥生時代の人がタイパを意識して生活していたでしょうか。別の価値観がそこにはあったでしょう。

「役に立っていないと、組織に所属してはいけないと感じる」という傾向も、韓国や台湾ではみられない価値観なのであれば、それにとらわれ続ける必要はありません。

今では自然な選択肢となったテレワークという働き方も、コロナがなければあたりまえになっていなかったかもしれません。

このような可変的なものならば、いつでも手放して、どんな価値観で生きていくか、自分で選んでもよいはずです。

今自分がどんな影響を受けていて、その中で、どうすれば自分らしい時間の使い方ができるのか。

自分がどう行動すればいいのか選べることが、むしろ現代人にとって必要な力なのではないでしょうか。

『仕事が終わらないのはだれのせい? 自分に優しい時間の使い方』(日経BP)

関屋裕希(せきや・ゆき)
東京大学大学院医学系研究科デジタルメンタルヘルス講座 特任研究員。博士(心理学)・臨床心理士・公認心理師。

関屋裕希
関屋裕希

東京大学大学院医学系研究科デジタルメンタルヘルス講座 特任研究員、博士(心理学)・臨床心理士・公認心理師。
早稲田大学文学部心理学専攻卒業、筑波大学大学院人間総合科学研究科発達臨床心理学分野博士課程修了後、2012 年より現所属にて勤務。働く人のメンタルヘルスを専門に、研究・カウンセリング・企業支援を行う。学生時代は、マインドフルネスを専門とする研究室に在籍し、大学院時代は感情の研究を行う。現在は、ポジティブ心理学、組織心理学、認知行動的アプローチ、マインドフルネス等をベースに、ワーク・エンゲイジメントやウェルビーイング向上プログラムを開発。現場で多くの「ちゃんと休めない」、「時間に追われる」悩みに触れる中で、時間を“効率”だけでなく“体験”として整える重要性を探究している。著書に『感情の問題地図』(共著)、『モチベーションの問題地図』(いずれも技術評論社)ほか。