静岡市の池に特定外来生物の魚「ブルーギル」が大量に繁殖し、もともと生息していたフナやエビが姿を消した。地元住民が“死の池”と話す池で始まった新たな取り組みとは?
公園の池に“異変” 「釣ってもほぼ100%ブルーギル」
静岡市駿河区の小鹿公園。この公園にある二ツ池で、いま“異変”が起きている。
釣り人に話を聞くと、釣れるのは特定外来種のブルーギルばかり。簡単に20匹から30匹釣れるという。「入れ食い状態」と話す人もいる。
この池には数万匹のブルーギルが生息しているとみられている。もともと池にはフナやコイ、エビなどがいたが、捕食してしまったという。
地元の有志・山田孝さんは「すっかり生き物がいなくなって“死の池”のようになってしまって、釣ってみるとほぼ100%ブルーギルしか釣れない」と話す。
対策に乗り出した住民と静岡市
“死の池”のようになり、他の生物の姿が消えた池。住民が困惑する中、静岡市も対策に乗り出した。池に浮かんでいたのは、「外来魚回収いけす」と書かれた青色のいけすで、二次元コードも貼られている。これは静岡市が7月上旬から設置した「外来魚回収いけす」。ブルーギルやブラックバスといった特定外来生物を入れてもらういけすで、釣った魚を入れてもらうことで駆除する仕組みだ。
地元の住民の山田孝さんは、以前二ツ池の惨状を見てブルーギルの捕獲を決意し、仲間とともに釣って駆除しようと考えたものの、釣った魚をどうするか困ってしまったという。当時は家に持ち帰って庭に埋めて処分したそうだ。ブルーギルのような特定外来生物は、生きたままの移動が禁止されている。このため釣ったらその場で殺して、持ち帰って可燃ゴミとして処分するしかなかった。
地元の山田孝さんは、このいけすについて「入れておけばいいので全然楽。心配せずいくらでも釣れる」と静岡市の取り組みを歓迎している。
このいけすによる駆除の仕組みは以下のとおり。
釣りの経験がない記者でも、15分で1匹目が釣れた。山田さんたちあわせて7人で釣りをした結果、15分間で27匹のブルーギルが釣れた。

そして、釣ったブルーギルをいけすへと入れる。

いけすへ入れる時には、生きた状態で入れる必要がある。最後に二次元コードを読み取って何匹入れたか送信すると、駆除した数が静岡市で集計される。

いけすの魚は市内の肥料業者が定期的に回収していて、魚粉を使った上質な肥料へと変わる。肥料は茶畑などに利用されるという。池の厄介者が大地の恵みに生まれ変わっている。

静岡市は鯨ヶ池や船越堤など、ブルーギルが繁殖している他の市内の池にも回収いけすを設置する予定だ。また、捕獲した匹数が多い人をランキングで発表して、楽しみながら駆除をしてもらう仕組みにしたいと考えている。
元の生態系に戻す取り組みはまだ始まったばかり。簡単ではないものの一歩ずつ進んでいる。

