災害時、「母乳が出なくなったらどうしよう」「ミルクがなくなったら赤ちゃんに何を飲ませればいいの?」そんな不安を抱える方は多いのではないでしょうか。
小児科専門医で「半蔵門のびすここどもクリニック」院長の河嶌美穂先生に、授乳期から離乳食期までの赤ちゃんの食事について、正しい対応を教えてもらいます
母乳やミルクがなくても慌てないで
当然ですが、お母さんのおっぱいやミルクが飲める状況であれば、赤ちゃんにとってはそれが一番です。
しかし、災害時は何が起きるか分かりません。避難生活によるストレスで母乳が出にくくなることもありますし、ミルクを切らしてしまったり、お湯が使えなくなったり、哺乳瓶を清潔に保てなくなったりする状況も考えられます。
大事なのは、そういった時に「母乳じゃないといけない」「ミルクじゃないといけない」と考え過ぎないことです。
例えば、一時的な対応として砂糖水を飲ませる方法もあります。コップ1杯(約200mL)の湯冷まし(用意できなければ飲料水)に、砂糖をスプーン1杯(大さじ1)入れるのが目安です。
砂糖水と聞くと驚かれるかもしれませんが、これは古くから病院の新生児室でも補助的に使われてきた方法です。
もちろん、砂糖水は母乳やミルクの代わりにはなりません。母乳やミルクに含まれるたんぱく質や脂質、ビタミン、ミネラルなどを補うことはできないため、あくまでも母乳やミルクを飲める環境が整うまでの応急的な対応と考えてください。
そして、ここでお伝えしたいのは「砂糖水が正解」ということではなく「水分と糖分を補う」という考え方です。
ご家庭にスポーツドリンクやジュースしかない場合は、それを薄めて飲ませるという方法もあります。
答えを一つ覚えるのではなく、「赤ちゃんには水分と糖分、場合によっては塩分も必要なんだ」と理解していれば、その場にあるものを工夫して対応できます。
私自身、最近は育児でも「マニュアルどおり」を求める方が増えたように感じています。離乳食でも、「100グラム食べると書いてあるのに80グラムしか食べません」と相談を受けることがあります。
でも、小さな子どもだって、食べる日もあれば食べない日もあります。災害時はなおさらです。数字やマニュアルに縛られるのではなく、その場の状況に応じて柔軟に考えることが、何より大切だと思います。
離乳食期の子どもは「栄養バランス」より「食べる」を優先
離乳食を食べ始めているお子さんについても、災害時は普段どおりの食事を用意しようと考えなくて大丈夫です。
大切なのは、「栄養バランス」よりも「食べること」。

