人口減少や担い手不足が課題となる中、私たちのとなりで「地域を守る」役割を担ってくれる外国出身の人たちがいます。富山に暮らす一人として、地域のために活動する2人を取材しました。
朝6時、消火訓練に励む富山市消防団山室分団の団員たちです。その先頭に立つのはベトナム出身のフェン・フークイさん38歳。フェンさんは富山市で活動する初めての外国人消防団員です。
今年4月に入団して間もなく、消防操法大会のメンバーに選ばれ、この日は大会に向けての訓練でした。
2012年に来日し、7年前に富山市へ移住。現在は建築会社でエンジニアとして働き、妻と長男と3人で暮らしています。
消防団員として一歩を踏み出したフェンさんの挑戦を地域の人たちは歓迎し、温かく見守っています。
*地域の人
「息子を見守るような感じ。きょう応援しにきた」
*富山市消防団 山室分団 フェン・フークイさん
「近所のおじちゃんに『入ってください』と言われた。実際に入って楽しい。みんな親切に教えてくれた、ちょっと疲れるけど、慣れた」
フェンさんは防災訓練にも参加していて、地域に馴染んでいます。
*地域の人
「町内の行事に活発に参加してくれて、まじめで、ぜひとも(消防団員に)なってもらいと思って誘った」
県消防課によりますと、今年4月1日時点の消防団員の数は8139人で、この10年間で1300人以上も減少。定員の8割にとどまります。
フェンさんが所属する山室分団も定員28人に対し団員は18人で、およそ半数が50代以上です。
*富山市消防団 山室分団 金山泰司団長
「高齢化が進んできて、若い人少ない。(外国人消防団員)は増えてもらうと助かる。彼らにしても日本の(文化の)中に入りやすくお互いにいい関係になると思う」
外国人消防団員は、消防法などの規定により、火災現場での放水や消防車の運転などはできませんが、避難誘導などの支援活動に携わることができます。
*富山市消防団 山室分団 フェン・フークイさん
「最初はちょっと怖いかなと思った。でも命を助けたいから勇気を出して出れると思う。前に出れないのはちょっと残念だが、後ろで一生懸命サポートする」
一方、高岡市にも地域を支える外国出身者がいます。ロシア出身のシャラフェツジロフ・エブゲニーさん45歳です。
15年前に富山に移住。貿易関係の自営業をしながら、町内会の班長を務めるなど、積極的に地域活動に参加しています。
そんなエブゲニーさんには、もう一つの顔があります。ハンターです。
この日は、狩猟シーズンを前に、銃の調整を行いました。
エブゲニーさんは5年前、わな猟と空気銃を使用する第二種銃猟の免許を取得し、イノシシの捕獲を始めました。
*高岡市猟友会 エブゲニーさん
「本当に危険。大きなものばかり。130キロのものも獲ってる。ちょっとだけでも手伝いになれればいいと思う」
近年、県内ではクマやイノシシによる被害が相次ぐ一方、有害鳥獣の捕獲を担うハンターの不足が課題となっています。
新人ハンターは増えつつあるものの、クマの銃猟に対応できる経験や技術を備えた人材は依然として不足しているのが現状で、外国人ハンターの活躍に期待が寄せられています。
*高岡市猟友会 鎌田健一会長
「穏やかな方で、親しみ深い人。有害鳥獣捕獲隊員が高齢化で少ないから、外国人とか日本人とか関係なくぜひ参加していただきたと思う」
趣味として始めた狩猟でしたが、地域の人たちから感謝される中で、その活動の意義を強く感じるようになったエブゲニーさん。
今後は第一種銃猟免許を取得し、有害鳥獣捕獲隊の一員となることを目指しています。
*高岡市猟友会 エブゲニーさん
「農家のおじさん、おばさんにありがどうと言われたら幸い。本当に嬉しい。(狩猟は)楽しいのは楽しいが、より大事なのは、みなさんに、特に農家のみなさんの役に立つこと」
人口減少が進み、地域を支える人材の確保が課題となる今。国籍ではなく、「地域で暮らす一人」として、私たちの安全を守る外国出身の人たち。その姿は、地域に欠かせない支えにほかなりません。
