目を見開き舌を出した迫力ある表情。福島県・会津地方の伝統工芸品として知られる会津唐人凧(とうじんだこ)だが、いま存続の危機に直面している。
■亡き夫の職人技を再現
創業から400年あまり。会津若松市で土産物などを取り扱う竹藤(たけとう)。
歴史を感じさせる店内で一際存在感を放っているのが、魔除けのお守りとしても知られる会津唐人凧だ。
14代目店主の鈴木英夫さんは、会津唐人凧を長年作り続けてきた。しかし、2026年2月に英夫さんは病気で亡くなった。
「やっぱり主人は上手でした。筆遣いが全然違う。私は字が下手なくらいだから」
現在は妻の洋子さんが、生前に英夫さんから聞いた作り方を参考にして、再現に努めているが簡単ではない。
骨組みの材料となる竹の割り方、迫力ある描き方、どれも職人技だ。
■後継者の育成と確保
娘の笠間和歌子さんは「手間もかかるし、実際に作って売ろうと思っても、今の時給で考えると、何倍もの値段にしないとというものがあるので、なかなか作って売るよという人も難しいかなと」と語る。
福島県によると、県内で会津唐人凧を作っているのは竹藤を含め2つの事業者のみ。後継者の育成と確保が課題となっている。
伝統を絶やすまいと、後継者探しなど親子で奮闘するなか痛感したのは知名度の低さだ。技術を継承してくれる人へ繋いでいくためには、知ってもらうことが第一歩。
笠間さんは「後継者を探すと言っても、唐人凧を皆さん知らない。まずは買ってもらう人という面でも、やっぱり唐人凧を多くの人に知ってもらいたい」と話す。
■知名度向上に一手
そうしたなか、7月から販売を開始したのが会津唐人凧と赤べこが描かれた缶バッジやクリアファイルなどのグッズ。
国内外から人気の“赤べこ”の力も借りて、新作グッズに思いを込める。
笠間さんは「多くの人に知っていただいて、これを残していかなきゃいけないという人が現れるような形にできたら」と期待を寄せている。
空高く舞う会津唐人凧。そこには伝統を受け継ぐ家族の誇りと決意が込められている。
会津唐人凧は大きさにもよるが1100円から1万5000円で購入できる。
また、新作グッズは竹藤や会津若松市内の観光施設などで販売している。
