大規模な山林火災の発生から3カ月が経過した岩手県大槌町で、7月25日にその現場を訪ねるツアーが実施されました。
火災をきっかけに大槌町の魅力に触れてもらおうというこの取り組みを取材しました。
7月25日、東京都や三重県など県外から訪れた7人が大槌町の山の中を歩いていました。
ここは、2026年4月に大規模な山林火災が発生した地域の一角で、3カ月が経過した今も、あたりには焦げた匂いが漂っています。
シカ猟師・消防団員 兼澤幸男さん
「バトンタッチするのはいいけど、水が無いのにどうやって消火活動するんだろう。メラメラと燃えて建物に迫ってきていて」
案内しているのは大槌町の山を知り尽くしたシカ猟師の兼澤幸男さんです。
消防団員でもある兼澤さんは自ら撮影した当時の映像を示しながら、炎が迫ったあの日を語ります。
シカ猟師・消防団員 兼澤幸男さん
「表面をメラメラとみんなで手をつないで歩いてくるように火が迫ってくるんですよ。とにかくそれに水をかける」
山林火災の現場を訪れ被害の様子を見るというこのツアーは、大槌町内で活動するNPO法人「おおつちのあそび」が企画しました。
NPO法人おおつちのあそび 大場理幹 事務局長
「私も消防団の一員として出火から1週間は消火活動に従事した。山林火災をきっかけに大槌町を知った人に来てもらい、大槌町のファンを増やすような取り組みができないかと企画した」
ツアーの目的は山林火災の被害を見てもらうだけでなく、大槌町の魅力を体験してもらうこと。
この日、参加者が昼食で味わったのは大槌町の自然が育んだ海と山の幸です。
脂ののった養殖ギンザケ「岩手大槌サーモン」は炙り丼に。そして新鮮でクセがないと注目されている大槌産のシカ肉のステーキ。どちらも町の未来を担う新たな特産品です。
実はこの店「食処居酒屋おおとら」も山林火災の火の手が迫り、避難のため営業できない日々を経験しました。
それでも今は、笑顔で訪れた人を迎えています。
食処居酒屋おおとら 店主 菊池忠彦さん
「今、大槌はジビエとサーモンを町の特産品としてやっているので、食もPRできるのがいい取り組みだと思う」
ツアーには漁船でのクルージングや郷土芸能の鑑賞などもあり、地元の人と触れ合いながら、大槌町ならではの時間を過ごすことができます。
参加した7人のうち5人は、大槌町への訪問は今回が初めてです。
木材関係の仕事をしている東京からの参加者
「会社として大槌に貢献できることがないか、食事や風呂と芸能を楽しみつつ考えたい」
また、ジビエとサーモンの味に感動したという東京からの参加者は「今年の初めにインバウンド向けの旅行会社をつくったので、今度は私がお客さんを連れてくるという立場で大槌に関わりたい」と話していました。
災害を知ることが、その町を好きになるきっかけになるーー。大槌町では今、山林火災の傷跡を未来の活力につなげる取り組みが進められています。
