熊本県を襲った地震から「72時間」が経過しました。
生存率が急激に下がるといわれる「72時間の壁」を迎える中、各地で懸命な救助活動が続いています。
取材の中で出会ったのは「梁の隙間がなければペちゃんこになっとった」と命からがら抜け出した人や、停電でクーラーが使えない中、猛暑を耐えしのぐ人たち。
地震から4日目となる31日、救助活動や避難生活の現状を取材しました。
■「今まで見たことないぐらいの現場だった」イオンモール熊本
激しい爆発が起きたイオンモール熊本では、「ドン」という轟音とともに建物の壁が吹き飛ばされる様子が記録されました。
その後に撮影されたドローン映像では、壁が剥がれ落ち、骨組みやパイプがむき出しになった内部が映し出されています。
がれきが床一面に散乱し、足の踏み場もない状態です。
現場に立ち会った九州大学病院救命救急センター助教・DMATの松永俊太郎医師は当時の様子をこう語ります。
【松永俊太郎医師】「最初に見たときに、いままで見たことないぐらいの現場だったので、あ然としてしまうというか、言葉が出ないような状況でしたね。ドアとか壁とかは、もうほとんど形はとどめてない状態でした」
イオンモール熊本では12人が救助され、そのうち7人が死亡。
安否不明者はゼロとなりましたが、県は引き続き捜索活動を続けるとしています。
■断水の影響で消火中に「ホースから水が出なくなる」
今回の地震では、断水の影響が消火活動にまで及びました。
熊本県内では約7万9100戸が断水しています。
宇城市では、消防隊員が燃える住宅にホースを向けたものの、水の勢いが次第に弱まり、やがて出なくなる事態に。
断水でタンクの水が底をつき、水を補充しながらの消火活動を強いられました。
また、31日午後1時時点で約2770戸が停電しているほか、ガソリンスタンドには50台以上の車が列をなす光景も見られました。
■「最大震度7」氷川町の現状は
今回の地震で最も強い最大震度7を観測したのが、氷川町です。
道路には、100メートルほどにわたって亀裂が入っています。
電柱が何本も倒れ、線路を完全に塞いでいる様子も確認されました。
30日午後6時時点で、氷川町では全壊162棟、半壊190棟、一部損壊893棟の住宅被害があり、4人の死亡が確認されています。
■車椅子の夫「倒壊した自宅」で2時間待ち続ける
地震発生時、危険な状況から「奇跡的に助かった」とケースもありました。
氷川町に住む池田母里子さんは、自宅が崩れたため、親戚の家に身を寄せています。
地震発生時、母里子さんは外に買い物へ出かけていました。
自宅に1人で残されていたのは、足が不自由で普段から車椅子を使っている夫の高徳さん(80)でした。
家屋が倒壊する中、ベッドの周辺だけは奇跡的に無事だったといいます。
さらなる倒壊の恐れがある危険な状況の中、高徳さんは約2時間待ち続けました。
その後、帰宅した母里子さんが高徳さんを無事に外へ連れ出すことができました。
2人が顔を合わせた瞬間について、高徳さんはこう話します。
【被災した池田高徳さん】「お互い安心しました」
■「梁の隙間がなければぺちゃんこに…」命からがら助かった女性
同じく氷川町では、熱気がこもる室内で横たわる女性がいました。
緒方タツ子さん、74歳です。
地震発生の瞬間、天井の梁が一瞬で落ちてきたといいます。
「い草」を折る機械の上に崩れた柱が乗ったことで、身を寄せられるわずかな隙間が生まれたそうです。
【被災した緒方タツ子さん(74)】「お父さんがすぐに逃げて、私も逃げようと思ったけど、もうガラガラガラって落ちてきた。機械に梁(はり)とかが乗って、隙間があったから、なんとか助かった。真ん中の胸のところが折れた」
しかし、その際に胸や背中の骨を折る大けがをしました。
病院で検査を受け、コルセットをつけ、いまは痛み止めの薬だけで生活している状態です。
寝返りを打つだけでも激痛が走るため、トイレにも1人では行けません。
■停電・断水・猛暑「電気がないと何もできん」
30日の熊本は、県内各地で猛暑日となりましたが、氷川町の多くの世帯では、停電が続いています。
断水は31日の朝7時30分時点で3000戸以上に拡大しています。
被災した緒方タツ子さんは骨折したため避難所生活が難しく、小屋で療養しています。
発電機の燃料が限られているため、扇風機を使えるのは夜間のみです。
ガソリンスタンドが開いていないため燃料の確保も難しい状況です。
【被災した緒方タツ子さん】「暑いですね。やっぱりこの暑さで参ってしまう。電気がないと何もできないです」
電力不足が生活のすべてに影響を与えています。
■「空き巣が怖くて離れられない」避難所に行けない住民たち
氷川町では、自宅の敷地に「テント」を建てて過ごす住民の姿も見られました。
食料などは普段から備えていたため当面の問題はないということですが、自宅の中は暑すぎて過ごせません。
息子夫婦と孫はテントで、夫婦はエアコンをつけた車の中で夜を明かしているといいます。
クーラーがある避難所に移動しない理由はこのように話しました。
【被災した住民】「(自宅に)いない間に泥棒が入ったり、空き巣が入ったりとかありますでしょう。この場所を離れられない」
■車中泊のための「ガソリン」も手に入りにくい状況
近くの自動車整備工場でも、車中泊で故障した車の修理が相次いでいました。
車中泊を続けるためのガソリン確保もままならず、3時間待って1人20リットルまでしか買うことができない状態だと話します。
テントや車中泊で避難生活をしている男性は「余震はあります。2時間に1回は目が覚めますね」と話しました。
停電、断水、猛暑という三重の苦しみの中で、一刻も早い復旧を待つ住民たちの生活が続いています。
(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2026年7月31日放送)
