沖縄県辺野古沖で修学旅行中の高校生を乗せた船が転覆した事故をめぐり、第三者委員会は、31日、「学校側の安全管理体制の不備が最大の原因」と結論付けました。
一方、亡くなった生徒の両親は学校などを刑事告訴しています。
【特別調査委員会 渡辺徹委員長】「他人任せの連鎖が形成される組織風土や船長に対する盲目的な信頼が原因であったと指摘できます」
学校が設置した第三者委員会が明らかにしたのは、あまりにも無責任に計画された修学旅行の実態でした。
■船は基地移設の抗議活動に使われ 事業者としては国に未登録
事故が起きたのは、ことし3月。
修学旅行中の同志社国際高校の生徒たちを乗せた船2隻が転覆し、当時2年の武石知華さん(当時17)が命を落としました。さらに、船長の金井創さん(当時71)も死亡しました。
【金井船長(事故前に撮影した動画より)】「この基地建設が始まってからアジサシが飛んでくる例はゼロになってしまいました」
事故が起きる前に生徒によって撮影された動画には、船長の説明を船の上で立って聞く生徒たちの姿がありました。
船は基地移設の抗議活動に使われているもので、人を船舶で運ぶ事業者としての国への登録を行っていませんでした。
国は、ことし5月に死亡した金井船長を海上運送法違反の疑いで刑事告発しました。
■船には引率の教員が同乗せず…学校側の責任は
一方、学校側の責任をめぐっては、船に引率の教員が同乗していなかったことが判明。
さらに、事故当日は、波浪注意報が発表されていましたが…
【同志社国際中学校・高等学校 西田喜久夫校長】「当時の天候や波の状態については、学校としては最終的に教員と話し合った上で、船長の判断にお任せした」
学校側は波浪注意報が出ていたのを把握しておらず、出港の判断を船長に一任していたのです。
■知華さんの両親「責任を明らかにしてほしい」と会見で訴え
武石知華さんの両親は30日、初めて会見を開き、責任を明らかにしてほしいと訴えました。
【知華さんの父親】「(学校側に)明らかな安全管理の欠如があるにもかかわらず、最悪の場合、亡くなった船長一人が被疑者死亡のまま送検され不起訴となる。
そして誰一人、法廷で刑事責任を問われることなく、終わってしまう。私たちにはそれは耐えられません」
両親は、校長や教員、船を運航していたヘリ基地反対協議会の関係者ら合わせて11人を業務上過失致死傷の疑いなどで刑事告訴しました。
■告訴にはためらいも…「子供の命が杜撰に扱われることのない未来を残してあげたい」
しかし、告訴にはためらいもあったと話します。
【知華さんの母親】「知華は学校が大好きだったので、告訴するということがいいのかどうかを悩みながらだったんですけど、知華の死というものに対して、きちんと責任は取ってもらうべきだと思いますし、子供の命がずさんに扱われることのない未来を残してあげたいなという思いで、告訴という形に踏み切りました」
また、両親は「抗議活動に参加していた」など知華さんに対する誹謗中傷があったことに対し、「誤解を解きたい」とも話しました。
■「生徒に対する安全配慮義務違反の責任は免れないと判断」
31日午後4時から会見を開いた「第三者委員会」は…。
【特別調査委員会 渡辺徹委員長】「学校法人同志社は、生徒に対する安全配慮義務違反の責任は免れないと判断しました」
第三者委員会は、事前に現地の下見も行っておらず、安全性を確認する手順も定めていなかったと認定。
学校の安全管理体制の不備が事故発生の最大の原因だと指摘しました。
■知華さんの両親「何度も止める機会があったのに…」
調査報告書について知華さんの両親は、「何度も止める機会があったのに、その全てが素通りされてきたこと。読み返すたびに本当にやりきれない思いが募ります」とコメントしています。
■元テレ朝・西脇弁護士「安全管理の体をなしてない」
今回の報告書を読んだという元テレビ朝日アナウンサーの西脇亨輔弁護士は「一言で言うとひどい。安全管理の体をなしてない」と学校の危機管理体制について批判しました。
【西脇亨輔弁護士】「学校として『危機管理マニュアル』を形では作ってるんですけれども、学校外の活動については何も決めていなかった。その結果として船に乗る時にも、天気の注意報を確認するルールさえなかった。
最終的に船に教師は同乗しなかったんですけれども、引率の教師はなぜボートに乗らなかったのか。その理由は『教師が船酔いをする体質』で、実際に船を見て、『自分はこの船に乗れない』と言って乗るのをやめた。だったら最初からボートに乗るコースの引率をさせるな。
こういうところからも、安全管理について計画が立っていなかったんじゃないのか。本当に猛省すべき点が多いと思いますね」
(関西テレビ「newsランナー」 2026年7月31日放送)
