7月28日、熊本県で最大震度7を観測した地震。

被災地では家屋の倒壊や火災、さらに発生1時間後には商業施設での爆発も確認され、多くの爪痕を残しています。

熊本県によると、これまでに死者は34人にのぼっています。

そして、県内では約1万467人が避難生活を余儀なくされています。そこに追い打ちをかけているのが”災害級の暑さ”です。

関西テレビ「newsランナー」は、関西の避難所を緊急検証。

浮かび上がってきたのは、「近年の過酷な暑さに追いつかない避難所の実情」でした。


■熊本の被災地「夜も家で寝るような状況でない」

熊本県の被災地取材を進める吉原キャスターは、氷川町役場からこうリポートしました。

【吉原キャスター】「気温30度を越える氷川町役場です。直射日光や太陽の照り返し、大変厳しい暑さとなっています」

停電と断水が続く氷川町では、エアコンも使えない状況が続いています。

被災した住民は「電気が来てないので、どうしようもない。暑いですよ」と語り、家屋の片づけもままならない状態です。

【被災した住民】「今ちょっと入っただけでも、汗かいてる。夜も家で寝るような状況でない」

■熊本の避難所 空調なく施設内の気温は「先ほどは38度」

30日、熊本市で最高気温が35.2度を記録するなど被災地は“災害級の暑さ”に。

最大震度6強だった八代市内の避難所には空調設備がありません。

担当の八代市職員は「避難してくる方はいらっしゃるんですけど、空調がないことを説明すると、空調がある避難所に移動されている状態」と説明します。避難所内の温度は38度だったといいます。

さらに週明けには熊本は予想最高気温が40度と予想されており、被災者は熱中症などの健康リスクと常に隣り合わせの状況に置かれています。

■南海トラフ巨大地震で最も早く津波到達と予想の本州最南端の町 避難所では「全身から汗が出てきます」

「newsランナー」は南海トラフ巨大地震が危惧される関西でも緊急検証を行いました。

向かったのは、和歌山県・串本町にある小学校の体育館です。

串本町は南海トラフ巨大地震が発生した場合、日本で最も早く津波が到達すると予想されるエリアの一つで、ピーク時には避難者が1万人を超えることが想定されています。

取材班が体育館に入ったのは午前10時過ぎ。手元の温度計は32.1度、湿度は80%近くを示していました。

記者が実際に体育館に滞在して検証を試みると、少し座っているだけで汗が吹き出し、服の色が変わるほどになりました。

寝転んだり、頭をペットボトルで冷やしたりと対策を試みましたが、なかなか眠れる状況ではありません。

【記者リポート】「真ん中にいると扇風機やスポットクーラーの風はほとんど届きません」

■対策が進まないのは「予算」

午後1時まで検証を続けた結果、温度計は34.5度を記録しました。

この体育館の現状の設備はスポットクーラーと扇風機のみで、大型空調設備はありません。ここに100人以上が避難する想定です。

串本町役場防災・防犯グループの岡田真一班長はインタビュー中も額に汗を浮かべながら、こう語りました。

【岡田真一班長】「やはり大きな空調設備が必要かなと。100人以上の方が避難されると、かなりの熱がこもってくる」

なぜ対策が進まないのか。岡田班長は「予算的なところもあるし、短期間で整備するのが、なかなか難しい」と明かしました。

■大阪の臨時避難所でも「サウナのようなむしっとした暑さ」

続いて取材班が訪れたのは、大阪府泉大津市の臨時避難所に指定されている体育館です。

タイヤなどの製造を行う住友ゴム工業泉大津工場の敷地内にあり、緊急時には100台を停めることができる駐車場と大きな体育館が避難所となります。

体育館には約230人が避難でき、プライバシーに配慮したテントも用意されています。

しかし記者がテントに入った瞬間の第一声は「外よりも蒸し蒸しした感覚があります。サウナのようなむしっとした暑さが感じられます」というものでした。

テント内に約5分滞在しただけで顔に汗がにじみ始めました。

この避難所にも空調設備はありません。去年7月の訓練でも「暑い」という声が相次いだといいます。

住友ゴム工業泉大津工場の組藤祐介工場長は「本当は空調機を全館つけられたらいいが、まずは一人一人に分け与えられるような扇風機があればどうかなと」と話します。

■「防衛費より避難所対策を」橋本氏は政治の“優先順位”疑問視

スタジオでは、元大阪府知事・橋下徹氏が政治的な視点からこの課題について発言しました。

【橋下徹氏】「防衛費の予算に何兆円、何十兆円ってかけるのであれば、具体的な住民を守るということで、避難所対策にお金を入れて、国と自治体挙げて、大号令をかける。災害大国・日本なんだから、その領土・領空、国家っていうよりも、まず住民を守ることに力を入れる政治をやってもらいたいですね」

菊地幸夫弁護士もこの意見に同調しつつ、「電源車が来て、停電してもその電源でエアコンがあればそれを使うという、設備を整えるしかないんだろうと思う」と話しました。

■今すぐできる個人の暑さ対策も

避難所・避難生活学会の水谷嘉浩代表理事は「今あるもので冷やす。ライフラインが復旧するまでは、何とかしのいでいただきたい」と呼びかけています。

水谷氏が挙げた個人でできる暑さ対策は以下の3点です。

・エコノミークラス症候群に注意しながら、涼しい車内に避難する
・濡れたタオルを首に巻く(特に子どもは首を冷やすことが重要)
・停電直後の冷凍庫はまだひんやりしているため、飲料を冷やして活用する

(関西テレビ「newsランナー」2026年7月30日放送)

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