「まずはペダルを外して…」というプロの一言に、思わず「乗るのに!?」と驚きの声が上がった。富山県砺波市の小学2年生・中田愛莉ちゃんが、プロの競輪選手の指導のもと補助輪なし自転車に挑戦。その結果、わずか1時間足らずで100メートルをひとりで走り抜けてしまった。「友達と一緒に乗りたい」という愛莉ちゃんの願いを叶えたプロ直伝の練習法とは、いったいどんなものだったのか。

補助輪を外した途端に怖くなる 親も悩む自転車の壁

自転車の補助輪を外すタイミングは、多くの子どもを持つ親にとって悩みどころだ。愛莉ちゃんの母・優子さんも「小学1年生になったら補助輪を外してほしいという気持ちもあって。とらないと上手くならないかなと思い。そしたら一気に怖くなっちゃったようで」と打ち明けた。補助輪があるうちは楽しく乗れていた子どもが、それを外した途端にバランスを崩して怖がってしまう。どう教えればいいのかわからず頭を抱える家庭も少なくないのでは。

そんな悩みを解決するために向かったのが、富山競輪場に併設された『サイクルパークとやま』だ。施設内には補助輪外しエリアが設けられており、今回は同施設でプロの競輪選手の小林真矢香選手と宮西令奈選手に指導してもらった。


ステップ1:自転車を「押して歩く」から始める

小林選手がまず口にしたのが、冒頭の「ペダルを外して」という言葉だ。これにはしっかりとした理由がある。ペダルがない状態で練習を進めることで、漕ぐことよりも先に「バランスを取る感覚」を体に覚えさせるのだ。


最初のステップは「自転車を押して歩く」こと。ポイントは目線を前に向け、車体が体から離れないようにして歩くことだ。一見すると簡単そうな動きだが、自転車の重さや動きに慣れ、車体を自分の体の延長として扱う感覚を養う大切な第一歩である。

ステップ2:またがって両足で歩く

自転車を安定して前に進められるようになったら、次は自転車にまたがった状態で両足を使って歩くように進む練習だ。左右に倒れず、まっすぐ前に進めるかどうかが重要なポイントとなる。

小林選手は「令奈先生を目標に!」と声をかけて、前を行く宮西選手に愛莉ちゃんの目線を向けさせた。
ステップ3:「カエル跳び」でバランス感覚を鍛える

またがり歩きに慣れてきたら、いよいよバランス練習の核心へ。小林選手が「カエルさんみたいに足を離してピョーン。自転車から離す。これ結構重要なんです」と説明したのが、「カエル跳び」の練習だ。
地面を蹴って両足を離し、その時間をできるだけ長くすることで、自転車に乗りながら体のバランスを保つ感覚を身につける。足をつかずにいられる時間が長くなるほど、バランスが安定している証拠だ。


さらにその応用として、「足をつけずに坂を降りる」練習も行った。軽い傾斜を利用しながら、両足を八の字に広げてバランスを保ちつつ進む。傾斜の力を借りることで、自然とスピードに乗る感覚もつかめる。こうして父親のところまで行けた愛莉ちゃんは「うれしい!!」と満面の笑みを見せた。


外していたペダルを戻して、いよいよ本番

バランスのコツがつかめてきたところで、外していたペダルをついに取り付ける。最終ステップは、地面を蹴って坂の勢いを借りながら、自分でペダルを漕いで進むことだ。最初は大人がサドルを持って体を安定させ、漕ぐ感覚をつかみやすくするとよいという。


小林選手が「回して回して!」と声をかける中、愛莉ちゃんはペダルをつけての練習わずか2回目にして、ひとりで漕げるようになった。「あんまり怖くなかった」と愛莉ちゃんが言えるほど、段階を踏んだ練習が恐怖心を取り除いていたようだ。



そして迎えたのが、100メートル先の壁を目指すクライマックスだ。愛莉ちゃんは真剣な表情でひとりでペダルを漕ぎ、並走する家族に見守られながら見事に目標地点まで走り切った。


「ここまで早く乗れると思っていなかった」

ゴールの瞬間、周囲からは「おめでとう!乗れたね!」という歓声が上がった。母・優子さんは「感動した。ここまで早く乗れると思っていなかった。くじけたりしないか心配だった。かっこいい姿見られてうれしい」と目を細めた。

愛莉ちゃん自身も「ありがとうございました」と小林選手に感謝。「友達と一緒に乗りたい」という最初の言葉通り、これからは街で友達と走り回ることができるだろう。
今回紹介したのは、①自転車を押して歩く、②またがって両足で歩く、③カエル跳びで足を離す時間を延ばす、④傾斜を使って足をつけず進む、⑤ペダルをつけて漕ぐ、という5段階のステップ。最初はペダルなしで「バランスを体で覚える」ことを最優先にしているのが特徴だ。まだ補助輪が外せていないお子さんを持つ家庭は、こうした練習法を取り入れてみてはいかがだろうか。
(富山テレビ放送 毎週土曜日放送「ダイブツのイマダ!」より)

