出雲市の「顔」商店街を襲った大規模火災
開店からわずか1か月余りで店舗を失った飲食店主は「スタッフのみんながもう一度、一から。舌はあるし、大丈夫だと言ってもらい励ましてもらっている」と語った。
6月23日夜に島根・出雲市の商店街「サンロードなかまち」で発生した大規模火災は、発生から約24時間後の24日午後7時30分に鎮火が発表された。
被害面積は約3400平方メートルに及び、15棟から20棟が焼失したとみられる。
街のシンボルを失った被災者たちの傷は深い一方、復興を願う全国からの声が「クラウドファンディング」という形で集まり始めている。
発生から24時間でようやく鎮火…被害面積3400平方メートルの爪痕
23日夜に発生した火災は、24日朝にはほぼ消し止められたものの、現場では火がくすぶり続けた。
消防が正式に鎮火を発表したのは、発生から丸1日が経過した24日午後7時30分のことだ。
鎮火から一夜明けた25日朝。
冷たい雨が降る中、現場の規制線は縮小され、商店街の内部に立ち入ることが可能になった。
道路には焼け落ちた屋根や柱などの瓦礫が集められ、警察と消防による実況見分が開始された。
被害面積は約3400平方メートルに及び、15棟から20棟の建物が焼失したとみられている。
火元の特定を含む出火原因の調査は、引き続き続けられている。
「何もかもなくなった」開店間もない店を失う 仲間の励まし胸に再起へ
火災で特に胸を打つ被害を受けたのが、飲食店「五穀と鹽(しお)」の店主・渡部ゆうこさんだ。
健康的な定食と和菓子を提供するこの店は、5月19日に「サンロードなかまち」でオープンしたばかり。
開店から1か月余りしか経っていなかった。
「何も持ち出せなくて、何もなくなった」と、渡部さんはそう言葉を絞り出した。
スタッフ約20人とともに「これから頑張っていこう」と話していた矢先の出来事だった。
鎮火を受け、渡部さんはスタッフと一緒に店の近くへと足を運んだ。
「煙は裏の店の後ろから上がっていて、その時点でもう(火が)まわっていた」と、あの夜の状況を振り返る。
それでも、そんな渡部さんを支えているのはスタッフたちの言葉だ。
「舌はあるし、大丈夫だと言ってもらい励ましてもらっている」と、再起への思いを口にした。
「言葉が見つからない」被害免れた店主が商店街の仲間への思い
一方、今回の火災で直接の被害を免れた商店街内の理髪店を営む男性も「(被害にあった)皆さんとは会っていません。(かける)言葉が見つかりません」と、複雑な心境を吐露した。
商店街をこれからの季節に向けて盛り上げていこうとしていた矢先だっただけに、悔しさは隠せない。
その言葉には、同じ商店街で共に歩んできた仲間への深い思いが込められていた。
「1日も早く日常を」出雲市が再建支援を表明
出雲市は25日、市に相談窓口を設置するとともに、被災者への瓦礫処理費用の支援と災害見舞金の支給を行う方針を明らかにした。
飯塚市長は「被災された皆様に寄り添い、1日も早く日常生活が取り戻せるよう、関係機関と連携して全力で取り組みたい」とコメントした。
さらに、復興を後押しするクラウドファンディングも立ち上がり、25日午後5時の時点で既に約200万円が集まり、目標額の2倍に迫る勢いを見せている。
全国からの賛同が「もう一度あの街を」という願いの形となって集まっている。
街のシンボルとも言える「サンロードなかまち」に大きな爪痕を残した今回の火災。
被災者たちの再起への道のりは決して平坦ではないが、地域内外からの支援の輪が、その歩みを支えている。

