「置き社食」とは、主にオフィス内に専用の冷蔵庫などを設置し、手ごろな価格で食事を購入できるサービスのことです。
物価高などを背景にこのサービスを取り入れている企業が岩手県内でも増えています。実際に取材しました。
ランチについて、物価高などの影響がどのように出ているのか、街の人に聞きました。
会社員(60代)
「1000円ちょっとだったランチが、1500円から2000円近く出さないと食べられない。1000円ではお昼を買えない時もあるのでお弁当を作っていきます」
学生(10代)
「大学1年生なので食費は結構抑えたいです。友達と一緒に買った肉や魚を料理して家で食べるっていうのは時々ある」
いわぎんリサーチ&コンサルティングが2025年8月に県民に行った調査によりますと、「物価高対策として行っていること」の1位は「必要なもの以外はできるだけ買わない」で、3位は「外食費の削減」、4位が「食費の削減」とランチ代に関わる項目が上位を占めています。
食費をできるだけ節約したいという意識が高まる中、「食」を通じて新たな福利厚生を導入した企業があります。
盛岡市の「カナン製作所」です。自動車やスマートフォンなどの製造に欠かせない半導体製造装置の精密板金加工などを行っています。
休憩所の一角にある冷蔵庫が、2025年10月から導入した「オフィスでやさい」という設置型の社食サービスです。
冷蔵庫の中を見てみると、サラダ、サンドイッチ、デザートもあります。
冷蔵庫・冷凍庫の中の商品は最も高額なものでも400円、他は100円または200円で販売されています。
西島芽アナウンサー
「私もサラダとサンドウィッチをいただいてみます。すごく新鮮。会社でこういうフレッシュな野菜がとれるのはすごく嬉しいです」
昼食時間になると冷蔵庫の前には従業員の列ができます。手頃な価格と野菜を中心とした健康的なメニューが人気だといいます。
例えばサラダは、企業が月額利用料金を負担することで、従業員は200円で購入できます。
社員からは次のような声が聞かれました。
「価格に関しては会社の方でも一部負担してくれているので安く抑えられている。物価高騰で大変ですがこうした福利厚生はすごく助かっている」
「普段は脂っこいものとかを食べているので、健康を意識して野菜を取り入れて食べている」
「忙しかったりすると、食事を作る準備ができないときもある。ここで買ったお惣菜を夕食に当てたりすることもある」
カナン製作所 阿部和大さん
「社員のみんなに少しでも健康を気遣ってもらえればと思い導入した。手軽に野菜やフルーツをとれる環境ができ、社員からも好評」
このサービスを提供する東京の企業「KOMPEITO」によると、県内の累計拠点数は2024年に43拠点、2025年は176拠点、2026年は322拠点と年々増加しています。
KONPEITO 白井小百合さん
「物価高騰というところがあり従業員の食を補助したいという企業が増えている。(岩手は)コンビニやスーパーに行くにも、車で5分・10分とかかるというところもある。オフィスにいながら健康的な食事が簡単に購入できる」
2026年4月には、従業員への食事補助の非課税枠が一人当たり月額3500円から7000円へ引き上げらました。
42年ぶりの見直しにより、企業が食を通じて従業員を支援しやすい環境が整いつつあります。
カナン製作所 阿部和大さん
「毎回違ったメニューが入ってきているので『今日は何が来るかな』と会話も増えた。給料や待遇面だけではない、会社の魅力の発信にもつながっていると思う」
導入費用は月に提供する商品数によって異なりますが、例えば月に150個の契約プランで月額6万円から導入可能です。
KONPEITO 白井小百合さん
「東北をはじめ岩手県、非常に導入の企業様が増えている。もっともっと増やしていき製造と流通の拠点を岩手県に設けられるように頑張っていきたい」
物価高などを背景に「食」を通じて働く人を支える新しい福利厚生。
企業にとって、「働き続けたい職場づくり」がますます重要視されるなか、こうしたサービスは「会社の魅力」そのものになりつつあるのかもしれません。
