連立政権の拡大を模索する自民党内から、国民民主党に秋波が送られてきた。
しかし、7月17日に会期末を迎える今の国会では、与党が衆院議員の定数削減法案などの審議入りを強行したことに対し、国民民主党を含めた野党がそろって猛反発し、審議拒否の状況が続いた。
こうした与党の国会運営は国民民主党の連立入りの行方にも影響を及ぼし始めている。
玉木氏「維新プラス官邸VSそれ以外」
「与党と野党の対立というよりも、維新プラス官邸とそれ以外という構図になっている。自民党の先生方も心配している」
2日夜のBSフジ「プライムニュース」に出演し、こう強調したのは国民民主党の玉木雄一郎代表だ。
衆院議員の定数削減法案と「副首都」に関する法案は、日本維新の会が今国会での成立に強くこだわり、与党が審議入りを強行した。
また、野党側が繰り返し求めてきた予算委員会の集中審議や党首討論の開催についても、与党はなかなか応じなかった。こうした状況に野党側は反発を強め、審議拒否が続いた。
番組の中で玉木氏は、単独で法案審議を進めた与党側の対応について、「野党を無視して議員立法でゴリ押しすること自体が異常事態だ」と批判。
そして、定数削減法案について次のように指摘した。
「“身を切る改革”とおっしゃる政党があるが、野党の議席を削る法案になっているのは明らかだ。自民・維新という与党の議席はあまり減らない一方で、我が党や、例えば参政党さんはもっと減る。3割4割、議席が減ってしまう」
定数削減法案は、衆院各会派で構成する選挙制度協議会で1年以内に結論が得られなかった場合、自動的に比例代表の定数を45議席削減する内容だ。
玉木氏は、「特定の政党に有利な中身の削減案になっている。プロセスと中身の両方において問題がある」として、慎重に議論を進めていくべきだとの考えを示した。
さらに番組では、自民内から期待する声も出ている国民民主の連立入りについても話題が及んだ。
6月5日夜、中東情勢を受けた今年度の補正予算が参院本会議で可決、成立した。
参院では与党が過半数割れしているが、採決では与党の自民と維新に加え、国民民主なども賛成に回った。
当時、国民民主の幹部の1人は「政策実現のために連立入りという選択肢も考えている。補正予算への賛成はその布石だ」と漏らしていた。
また、別の幹部も連立入りの可能性について、「党内ではまだ議論はしていないが、こういう状況だから、あらゆる可能性がある」と含みを持たせていた。
その連立入りについて、番組の中で玉木氏は次のように語った。
「殴られているのか、なでられているのか分からない。連立しないか、協力してやらないかと言いながら、とてもこちらが飲めないような国会運営、法案や政策を出してくるので、ボンボン殴られている。“笑顔で顔面パンチ”と呼んでいる。こちらもちょっと戸惑っている」
そして、「国会運営さえ円満に行かないのに、普通、連立にはならない」と述べ、現時点で連立政権に加わることに否定的な考えを示した。
消費税減税が連立入りのハードルに
国民民主の連立入りのハードルとして、食料品の消費税減税を指摘する声もある。
政府と与野党による「社会保障国民会議」の実務者会議で、自民党は飲食料品の消費税について、2027年4月から2年間に限り、税率を1%に下げる「議長案」を提示している。
一方、国民民主党は、飲食料品の消費税減税の代わりに、2月の衆院選でも掲げた「社会保険料還付付き税額控除」を来年度から導入し、その社会保険料還付の前倒しとして今年度から現金給付を実施すべきだと主張している。
6月22日の衆院予算委員会で、国民民主党の田中健衆院議員の質問に対し、高市早苗総理大臣は、消費税減税については「改革の本丸である給付付き税額控除の実施までの2年間に限った“つなぎ”と位置づけているので、給付付き税額控除への移行を見据えて検討しているものだ」と改めて説明。
その上で、「政府与党としては、2年間の減税が終了した後は現行の8%の軽減税率に戻すことを想定している」と明言した。
また、鈴木憲和農林水産大臣は、「農林水産省としては、食料品消費税減税により、農業者や食品関連の中小事業者などにどの程度の負担増が生じるかについては、現状としては試算は行っていない」と述べた。
これに対し、玉木氏は自身のSNSに投稿し、「国民民主党は、不況時には消費税を減税し、回復すれば元に戻すことを訴えてきたが、高市総理は景気の良し悪しに関係なく減税、元に戻す方針を明言した」として、「不況時に増税することになる可能性もあり問題だ。もっとよく議論した方がよい」との認識を示した。
さらに、翌23日の投稿でも、「年間3 万円程度の負担減を行うのに、飲食料品消費税1%の減税でよいのか懸念がある」とした上で、次のように批判した。
「負担が増えると見込まれる農業者や外食産業への悪影響について、政府として試算すらしていない答弁には驚いた。明確だったのは2年後の増税だけ」
そして、24日の記者会見で、玉木氏は「国家と国民にとって良くないところが明らかにあるので、見直しを求めたり対案を示したりしている」と強調。
自民党との関係について、「笑顔でパンチされている感じがする」として、次のように語った。
「連立なり連携のお声かけをいただいていることは承知している。連携するのであれば我々の意見にもぜひ耳を傾けていただきたい。引き続き政策本位で向き合っていきたい」
国民民主党の幹部の1人は次のように苦しい胸の内を漏らす。
「仮に比例代表だけに絞った議員定数削減の法案が成立した場合、うちの党の議員は大幅に減ってしまう。しかも消費税を戻すタイミングは衆院選とかぶる可能性もある。仮にうちが連立政権に加わって、比例を削減され、消費税の増税にもつき合わされたら壊滅する。取り下げてもらわないと連立に入りたくても入れない」
「私たちの『おかわり』足りなかった」と反省
玉木氏は2日、自身のSNSに「もっと『おかわり』できたし、すべきだった」とする投稿を寄せた。
この中で、2025年度の国の一般会計税収が6年連続で過去最高を更新する見通しとなったとして、「年収200万円以下の所得層に対し103万円の壁を160万円まで引き上げるなどの所得減税を実施したにもかかわらず、前年度比で9兆円の増収となっている」と指摘した。
そして、「国にとっては税収増は良いニュースかもしれないが、これは国民が『インフレ増税』という『ステルス増税』を課せられている結果に他ならない」と強調した。
さらに、要求を1つ飲んだら次の要求を主張してくる「おかわり君」などと「今も時々、政権から揶揄される」としつつ、「反省しなければならない」として次のように続けた。
「私たちの『おかわり』が足りなかった。国民の税負担軽減を、もっと政府・与党に要求すべきだった。今年度2026年度も税収は大幅に上振れし、90兆円近くになるだろう。国民民主党は、『社会保険料還付付き住民税控除』を訴えてきた。具体的には、来年度から住民税の控除額を50万円引き上げて約5万円の減税を実現すべきだ」
玉木氏は「2年間限定の飲食料品消費税減税より効果的だし、2年後の『増税』もない」とつづり、次のように呼びかけた。
「やらなければ、働く現役世代は、重い『インフレ増税』を課せられたままになってしまう。現役世代の手取りを増やそう」
参院で与党の過半数割れが続く中、国民民主党が今後、どのように政策実現を果たしていくのか。さらには高市政権、そして自民党との距離感も注目を集めそうだ。
(フジテレビ政治部 野党担当キャップ 木村大久)

