立憲・公明両党の衆院議員が中道改革連合を結成して約5カ月、いまだ参院議員の合流は実現していない。中道・公明両党が早期合流を目指す一方、立憲民主党は慎重な姿勢を崩しておらず、3党の正式な協議は行われていない。膠着(こうちゃく)した事態を打開するため、中道は合流をにらんだ協議体の設置を呼びかける一手を打った。その背景や合流に向けた課題などについて、関係者への取材で迫った。
中道・小川氏が協議体呼びかけ「政権の受け皿を」
「現政権に代わる受け皿は必ず必要で、我々中道リベラル勢力が国家国民のためにどうあるべきかという視座に立って、3党間の組織課題を協議していきたい」
19日午後、立憲・公明両党に対し、合流をにらんだ協議体の設置を呼びかけた後、こう語ったのは中道改革連合の小川淳也代表だ。これまでに小川氏は「3党が片輪走行し続けるには限界がある」と危機感を示してきた。
中道は臨時の執行役員会を開き、「3党の組織上の課題に関する協議体」を新たに設置し、立憲・公明両党に参加を呼びかける方針を確認した。その後、小川氏は立憲の水岡俊一代表、公明の竹谷とし子代表とそれぞれ会談し、要請書を手渡した。
会談を終えて記者会見に臨んだ小川氏は「できるだけ大きな塊で、中道リベラル勢力が結集し、政権の受け皿たるべき政治勢力がこの国に存在するという状況を目指したい」と強調した。そして、「行き着く姿として合流という議論もありうる。3党間の協議次第だ」と述べた。
この小川氏の呼びかけに対し、公明の竹谷代表は記者団の取材に対し、協議体に参加する方向で調整する考えを示した上で、合流に向けて「前進になる」との認識を示した。
一方、立憲の水岡代表は「執行部として前向きに受け止め、テーブルにつく用意をする」との考えを示し、小川氏に対して、「丁寧な進め方が必要と考えるので、党内で説明した上で正式に答える」と伝えたことを明かした。さらに、水岡氏は次のように述べ、合流する前提での協議体ではないと釘を刺した。
「結論ありきでどこかに引っ張っていくというのは今の私たちには適切ではない。党内のコンセンサスを得ながらやっていきたい」
中道の要請書では、協議事項として組織、政策、選挙の3点を挙げているが、「合流」という文字は入っていない。党内で合流に慎重意見も根強い立憲に対する配慮がうかがえる。
立憲幹部の1人は「拙速に事を進めようとすると、まとまるものもまとまらなくなる。できるだけ丁寧かつ慎重に進め、党としてまとまった行動を目指すべきだ」と話す。
一方、別の幹部は「合流するにせよ合流しないにせよ、早く決めるべきだ。今のまま何も決めずに時間だけたっていくのが一番マズい」とした上で、次のように苦しい胸の内を漏らす。
「今のままで立憲民主党と公明党に未来はない。それはみんな分かっていると思う」
立憲支援の7産別が早期の協議入り要求
今回の協議体呼びかけを事実上、後押ししたのが、立憲を支援する7つの産業別労働組合(産別)だと指摘する声も出ている。
ある立憲幹部は「産別が合流に傾いている。党としての方向性に少なからず影響を及ぼす」との見方を示す。
立憲を支援する自治労、日教組、日本郵政グループ労組、基幹労連、中小製造業中心の労組「JAM」など7産別の幹部は11日、東京都内のホテルで会合を開いた。立憲側からは水岡代表のほか、田名部匡代幹事長、森本真治選挙対策委員長が参加した。
関係者によると、当初は7産別の幹部だけで意見交換を行う場として設定されていたが、立憲側も参加することになったという。
会合の中で、産別側が3党間で早期に正式な協議に入るよう求め、立憲側は協議入り自体には前向きな考えを示した。一部の産別からは、3党が協議した上で新党を結成すべきだとの声もあがったという。
こうした7産別のスタンスについては、公明側も重視しているのは間違いない。公明関係者によると、これまでに西田実仁幹事長が、公明出身で中道の斉藤鉄夫前共同代表と共に各産別を回り、意見交換を重ねたという。
産別幹部の1人は、7産別のスタンスについて次のように解説する。
「この先、今のままの立憲では厳しいということは皆、分かっている。だから大きな塊を目指すことは必要だと思っていて、そこに反対する意見はない」
その上で、この産別幹部は「中道への合流という形ではなく、3党を中心に大義や政策を掲げて新党を結成すべきだ」との考えを示した。
また、ある産別幹部も「早く3党で協議に入って、綱領や基本政策を改めて侃々諤々、議論すべきだ」とした上で、その議論のあり方について次のように求めた。
「3党の議論はオープンで国民に見える形でやるべきだ。3党が今後の日本のあり方、そのための党としてのあり方について真剣に議論を重ねる。その議論を通じて、衆院選の際に国民から持たれた選挙互助会というイメージを払拭しなければいけない」
一方、別の産別幹部は「協議入りには賛成だが、合流には解決しなければいけない課題も多い」として、次のように指摘している。
「拙速に事を運ぶのではなく、時間をかけて丁寧かつ慎重に進めていくべきだ。公明党さんが主張しているような今国会の会期末までに方向性を出すことは無理だと思う」
合流の是非を判断するタイミングに温度差
3党は合流するかどうかの判断をいつ下すのか。その時期をめぐっては、考え方の違いが浮き彫りとなっている。
先述の19日の取材の中で公明の竹谷代表は、秋の臨時国会では「中道の塊の衆参の揃った形が望ましい」との認識を示した。そして、会期が7月17日までの今国会中をめどに、「一定の方向性を出していくべきという立場は変わらない」と強調した。
一方、立憲の水岡代表は、今国会中に「結論を出すことは難しい」との考えを改めて示した。
立憲と公明に温度差がある中、中道の小川代表は「会期末にどこまで合意形成できるか、論点整理できるか、これは1つの節目になる。それから閉会中にどの程度、熟度を上げられるのか、これも大きな節目になる」と述べた。
そして、秋の臨時国会が1つの締め切りとなるか、記者から見解を尋ねられると、次のように答えた。
「3党それぞれ抱えている諸事情が様々なので、一方的にそう明言し、言い切るつもりはない。しかし、大きな節目として意識せざるを得ない。それを前提に3党間で丁寧に協議したい」

さらに、他の記者から「多少とも山が動き出した」と水を向けられると、小川氏は次のように語った。
「山を動かし、閉塞状況を打破したいという思いはあるが、まだまだいわば登山口の駐車場にようやく到達し、これから着替えて靴を履き替え、登山を開始するという状況だ。山が動いたとまで言っていただけるのは過分な評価だと気を引き締め、謙虚に丁寧に事を運びたい」
3党が今後、協議体を設置してどのような議論を行うのか、そして「政権の受け皿たる大きな塊」に向けて合流を実現できるのか、注目が集まりそうだ。
(フジテレビ政治部 野党担当キャップ 木村大久)

