宮島の厳島神社が、世界遺産登録から30年目の節目の年となる今年。
国の内外の新規ホテルが建設されるなど、宮島の観光ビジネスが過熱する中、地元企業の観光戦略に密着しました。

多くの観光客で賑わう宮島。
去年の来島者は、およそ497万人。
過去最高だったおととしから、11万人以上増えて、2年連続で過去最高を更新しました。

宮島の商店街から離れた宮島水族館の近く、地元の人たちが、弁財天通りと呼ぶ一角に、今月、オープンしたカフェ。
地域の癒しの場、オアシスにしたいとOAS(オース)と名付けられました。
コーヒーや瀬戸内レモンを使ったレモン抹茶ラテのほか、アルコール飲料とともに軽食も提供しています。

【お客さん】
「食感もいいですし、ホウレンソウとパンが非常に合いますね」

ショーケースに並ぶ工夫を凝らしたスイーツ。
宮島のシカをリアルに表現したケーキは、店の看板商品です。
カフェを運営するのは、飲食業を展開する東洋観光。

グループが、宮島で、本格的に事業展開を始めたのは2019年。
旅館「杜の宿」の支配人槇さんは、その頃から、宮島の観光事業に携わってきました。

【みやじま杜の宿 槇敬志 支配人】
「まずは探り探りというか、その頃はまだコロナ禍の前でしたので、国内の全国から来るお客だとか外国人の観光客が、今から多くなるという時期だったので、インバウンド対策の力を入れようかと思っていた時でした」

去年、宮島を訪れた外国人観光客の数は、およそ75万人。
おととしの64万人を10万人以上、上回り、過去最高を記録しました。
長引く円安や物価の高騰などが、観光地に影響を与えていると槇さんは感じています。

【みやじま杜の宿 槇敬志 支配人】
「旅館自体はかなり高額なプランで設定されていますので、インバウンドの方は円安でまだまだ増えるかなと思いますが、国内旅行の方は少し料金的に高い設定になっていると思います」

そんな、宮島を舞台にした観光戦略に、この夏、新たな一手を打ち出しました。

【みやじま杜の宿 槇敬志 支配人】
「夜のコンテンツが弱いというか、店自体も(夜遅くまで)開いている所が少ないと思うし、夜の魅力、夜の食事をお客に利用してもらえる形にしたいと思って」

ことし7月、宮島で新たな事業を展開。
去年末に営業を終えた旅館を改装し、和食店を開業します。
築300年を超える古民家を活用し、瀬戸内の魚などを提供。
将来は宿泊も見据えています。

【宮島味処 しまの音 山本義諒 店長】
「今は飲食店として形を作るための土台造りといったところも含めて構築している」

飲食店からスタートするには、理由がありました。

【宮島味処 しまの音 山本義諒 店長】
「夜遅くまでやっている店が(宮島には)非常に少ない。夕方から営業している店が少ない印象を受けていて、食事難民ではないですが、そういった所の取込は非常に価値があると考えています」


インバウンド需要が高い宮島。
去年、運営会社をグループ化した旅館「さくらや」。
宿泊者の8割から9割は海外からの観光客で、食事をつけない素泊まりを希望するケースが多いと言います。

【旅館さくらや 田淵潤太郎 支配人】
「数年前から進んでいる『泊食分離』、特にインバウンドのお客が多い旅館ですので、泊る所と食事をする所をすみ分けてもいいのではないかという戦略です」

宿泊施設での食事の提供は、意外に負担が大きいと言います。

【旅館さくらや 田淵潤太郎 支配人】
「人の問題とか食材もそうですし、(宿泊とは)また別の部隊をそろえないといけなくなるので非常に大変になる」

食事提供の負担を軽くする事で、客のニーズに応えた宿泊サービスを充実させることができます。

【旅館さくらや 田淵潤太郎 支配人】
「シービューという海側というタイトルの部屋なんですが、そこから(部屋全体の)予約が埋まっていきますし、夕日や朝日が日中も天気がいい日は、色々な海の表情が見られて旅館の売りにしている部屋です。食事提供をしない代わりに快適な空間を作り上げる努力をしています」

店舗ごとの強味を活かした連携で、需要に応えます。

【宮島味処 しまの音 山本義諒 店長】
素泊まりの方が多くなっている印象です。
【旅館さくらや 田淵潤太郎 支配人】
Q:ここにビジネスチャンスがある?
食事と宿泊を分けて考えて利用するお客が増えているので、宿泊客が外に食事の場所を探すとなった時に、夜遅くまでやっている店というのは選択肢の中に入りやすい。

今年、厳島神社は、世界遺産登録から30年目を迎えます。
宮島への観光客のさらなる増加が予想される中、今後の宮島の観光戦略について聞くと・・・。

【みやじま杜の宿 槇敬志 支配人】
「例えば世界情勢であったり、インバウンドも何かあれば止まる事もあると思うので、今は新しい店もどちらかというとインバウンドの回復を見越しながら展開していますが、そこは修学旅行や国内のお客にも使いやすい、利用しやすい店は大事だと思う」

宮島対岸には、県外や海外からのホテルの進出も相次ぎます。

【みやじま杜の宿 槇敬志 支配人】
「私としては協業というかありがたいと思っています。やはり我々の強みは宮島島内で仕事をしているという事なので、宮島島内の魅力というものは島の中でご飯を食べないと経験できなかったり、宮島に泊まらないと夜の良さや朝の良さなどは感じられないと思うので」

島内で営業する優位性を活かしたいとしつつ、東洋観光グループホールディングスの今井代表は、観光地、宮島の課題を指摘します。

【東洋観光ホールディングス 今井誠則 代表】
宮島自体も(環境の)保存という事で、新しい宿泊施設はできないし、島内の宿泊のキャパが小さい」

地元企業として、観光地、宮島を生かすためには、県内周遊の促進など広い視点が必要だといいます。

【東洋観光グループホールディングス 今井誠則 代表】
(広島に)来ても日帰りで来られる宮島と平和公園両方見ても3、4時間あれば十分。いわゆる(宿泊の)「広島飛ばし」が残念ながら未だに続いている。問題は宮島ではなくて(観光客に)広島市内に戻ってもらう。『福岡に行かないで』という話だと思う」

観光地・宮島での事業展開を強化する「東洋観光」。
賑わいを県内に波及するための責任も背負い、暑い夏を迎えます。

テレビ新広島
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