島根の企業がキャラクターグッズ展開に注力 「推し活」ブームにしっかり対応
「楽しんでもらうことを念頭において、皆さんの日常生活に溶け込めるような親しみやすいものが作れたら」…そんな想いから生まれた企業オリジナルグッズが、島根県内の企業の間で静かな盛り上がりを見せている。
「推し活」ブームを背景に、地元企業が長年愛されてきたキャラクターを活かしたグッズ展開に力を入れはじめた。
カプセルトイは発売から1万個超えの売り上げを記録し、「ぷっくりシール」は生産が一時追いつかなくなるほどの人気ぶりを見せるなど、効果をあげている。
島根・松江市の2つのメーカーの取り組みを追った。
社長交代きっかけに広がる“楽しい挑戦” 「遊び心」でグッズ展開
松江市の「小西本店」は、「錦味噌」のブランドで知られる創業170年余りのメーカーだ。
1964年に登場し、山陰エリアの人なら一度は目にしたことがあるという馬のキャラクター「さとるくん」のCMで広く親しまれてきた。
グッズ制作のきっかけは3年前、社長の代替わりだった。
錦味噌営業課の竹並郁枝課長は「社長が代替わりしたタイミングで、お味噌だけでなくいろいろ楽しいことを、という思いが強い人なので、そこからグッズを作り始めている」と話す。
現在ラインナップは全14種類。
さとるくんのぬいぐるみやマスキングテープ、さらに商品パッケージをそのままデザインに落とし込んだ「お昼寝枕」まで揃う。
こだわりは商品の種類だけではない。
箸置きは県内の窯元に焼いてもらい、枕は地元の寝具店が一つ一つ手縫いで仕上げ、マスキングテープも地元企業と連携して製作した。
タオルはオーガニックコットン100%を採用するなど、素材面でも妥協がない。
企業グッズでも「地産地消」を徹底している。
竹並課長自身は「『グッズで頑張って儲けるぞ!』とはあまり今は考えていない」と控えめに語るが、成果はしっかり出てきている。

「さとるくん」カプセルトイが想定超えの1万個突破 “利益二の次”でも楽しんでもらいたい
2023年に登場したカプセルトイ(ガチャガチャ)は、CMキャラクターの「さとるくん」らをキーホルダー化したもの。
「さとるくん」目当てに何度も挑戦するファンも現れ、発売開始から1万個以上を売り上げた。
「楽しんでもらうということを念頭において、皆さんの日常生活に溶け込めるような親しみやすいものが作れたら」と竹並課長は話す。
利益を「二の次」に置きながらも、地域とともに作り上げるグッズは確かな存在感を示し始めている。

島根銘菓メーカーがキャラ活用に本腰 “どまんくん”グッズ展開
島根を代表する銘菓「どじょう掬いまんじゅう」の製造・販売を手がける松江市の中浦食品も、公式キャラクター「どまんくん」を活かしたオリジナルグッズ販売に2026年から力を入れている。
「たくさんの人からグッズの要望があったので、この度新グッズとして販売を開始した」と、シャミネ中浦本舗の内田涼副店長は説明する。
新商品の投入は約10年ぶり。
4月からシールが、6月からはタオルやクリアファイルなどが加わり、現在6種類が揃った。
反響は、内田副店長自身も驚くほどだった。

“ぷっくりシール”2か月で5万枚 生産が一時追いつかず 企業キャラが生む新たな広告力
6種類の中で断トツの売れ筋は、トレンドのぷっくりシールだ。
販売開始から約2か月で出荷枚数は5万枚に達し、生産が一時追いつかなくなるほどの人気となった。
「一人1枚買うとかではなく複数枚購入する人が多いので、多い日では一日100枚を売り上げる日もある」と内田副店長は明かす。
熱心なファンは大人だけではない。
内田副店長の5歳の娘もシール集めにはまっている一人だ。
シール帳にはどまんくんのシールがしっかり収まり、リュックサックには「どまんくん」のキーホルダー、保育園で使うノートには「どまんくん」ステッカーが貼られている。
まさに”どまんくん尽くし”の毎日だ。
どんなところが好きか尋ねると、内田副店長の娘は一言、「顔!」と即答した。
「グッズをきっかけにどじょう掬いまんじゅうを身近に感じてもらって、沢山の人におまんじゅう自体を食べてもらいたい」と内田副店長は狙いを語る。
グッズがファンの手に渡り、持ち歩かれることで無料の広告塔にもなる…そのサイクルを見据えた展開だ。
SNSの普及によって誰もが「推し」をアピールできる時代、企業の長年のキャラクターは新たな文脈で輝きを増している。
地域の企業が地域の素材や職人と手を組みながら育てていく企業グッズが、地域社会に根ざした新たなビジネスの芽となるか。
島根の企業の発想力から目が離せない。


