夏の風物詩『鳥取しゃんしゃん祭』 開催へ“難題”
鳥取の夏の風物詩『鳥取しゃんしゃん祭』が2026年も8月13日から2日間、開催される。
祭りのPR役「鈴の音大使」に3人の女性が新たに任命された一方で、踊りに欠かせない「しゃんしゃん傘」が大きく不足するという事態に直面していた。
しかし報道を通じて窮状が伝わると、市民や企業から相次いで傘が提供され、2026年の開催に必要な数はなんとか確保させることになった。
その背景を取材した。
「鳥取しゃんしゃん鈴の音大使」62回目の祭へ意気込み
鳥取市役所で行われた「鳥取しゃんしゃん鈴の音大使」の任命式。
2026年の大使として福田舞さん、松川星南さん、横原すみれさんの3人が選ばれた。
いずれも鳥取市出身だ。
大使の一人、福田舞さんは「まずは鳥取しゃんしゃん祭で元気よく踊って、踊り手の皆様にも負けないように力いっぱい務めさせていただけたら」と意気込みを語った。
2026年で62回目を迎えるしゃんしゃん祭。
14日には見せ場の「一斉傘踊り」が行われ、鳥取の街なかに「しゃんしゃん」と鈴の音が響き、華やかな傘の花が広がる。
2026年は例年並みの114連、約3800人が参加する予定だ。

和傘づくりの担い手急逝で伝統に危機…しゃんしゃん傘約400本不足
そんな祭りの「華」に、思いがけない問題が浮上した。
5月27日に開かれた祭りの振興会の総会で報告されたのは、踊りに欠かせない和傘「しゃんしゃん傘」の不足だ。
しゃんしゃん傘は、県東部に伝わる「因幡の傘踊り」で使われる傘を一回り小さくしたもの。
職人が手作業で骨組みに和紙を貼り、金や銀の短冊で飾り付けて仕上げる、手間のかかる品だ。
ところが、数十年にわたって製作を一手に引き受けていた職人が2026年2月に突然亡くなり、製作がストップ。
一斉傘踊りでは一時、約400本が不足する見通しとなっていた。
振興会の平尾由紀さんは「職人の高齢化や人員不足のほか、資材の高騰や材料不足などにより祭りに必要な傘の確保が難しくなっています」と現状を説明する。
また、製作過程の詳細が亡くなった職人から十分に引き継がれていないことも、後継者育成を難しくしている要因の一つだという。

危機を救った支援の輪 必要数確保も“今年限りの措置”に懸念続く
傘不足が報道などで伝えられた5月以降、市民や企業から使われなくなった傘が次々と寄せられ、祭りで必要な数は確保できたということだ。
平尾さんは「今回はこういう状況なので、今年は貸し出しをするという特別対応みたいな感じになっています」と話し、寄せられた傘を参加者に貸し出す形で対応する。
ただし、これはあくまでも2026年限りの措置だ。
「新しいものができていかないと今後ずっと5年、10年先を考えると」と平尾さんが懸念するように、2027年以降の傘の確保は依然として大きな課題として残っている。

来年見据え3Dプリンター活用も…伝統継承へ体制見直し
振興会は「今ある傘を大切に使ってほしい」と参加者に呼びかけるとともに、3Dプリンターを活用するなど、職人1人に頼り切りだった傘づくりの体制を抜本的に見直す方針だ。
2027年以降について、平尾さんは「新しい傘を販売して、自分の傘で踊っていただきたい」と目標を掲げており、後継者育成と製作体制の整備を急いでいる。
鈴の音とともに鳥取の夏を彩り続けてきた祭りが、地域の絆に支えられながら2026年も幕を開ける。


