瀬戸大橋と瀬戸内の島々が一望できるカフェがこの春、倉敷市にオープンし人気を集めている。

能登半島地震で被災し、穏やかな瀬戸内海に魅せられた女性オーナーの再チャレンジに迫った。

◆鷲羽山からの「きれいな景色」と「山頂の360度の眺め」に感動・・・石川・七尾市から移住しカフェをオープン

瀬戸大橋と瀬戸内の島々が一望できる瀬戸内海国立公園 鷲羽山ビジターセンター。ここに2026年3月、カフェがオープンした。

オーナーは石川県七尾市から移住してきた森田茜さん(32)。移住前に遊びに来た時に鷲羽山を案内してもらったところ、晴れた日のきれいな景色に感動したという。特に「山頂の360度の眺め」が気に入ったのだそうだ。

瀬戸大橋と瀬戸内の島々が一望できる
瀬戸大橋と瀬戸内の島々が一望できる
この記事の画像(8枚)

◆SNSや口コミで人気増大 瀬戸大橋が見えるロケーションに常連客「すごく癒やしになる」

店の名前は「KOTKA(コトカ) SETOUCHI」。KOTKAはフィンランド語で「鷲」。鷲羽山にちなんだ店舗名でSNSだけではなく口コミでも人気を集めている。

お店にいた家族連れに感想を聞くと、「海が気持ちいい」「瀬戸大橋が見えていい」という瀬戸内海の景色に関する好印象を挙げた。

また、来店が15回目という女性客は「すごく癒やしになるので」と、店の居心地の良さが足を運ぶきっかけになっている。

訪れた人は…
訪れた人は…

◆カフェでは日本茶を使ったドリンクやスイーツをメインに「岡山らしいメニュー」を提供

カフェのメインメニューは日本茶を使ったドリンクやスイーツ。

2人連れの客から「ほうじ茶ラテ」と「抹茶ラテ」の注文を受け、自らテーブルに運ぶ森田さん。どちらのラテも層になっていて、写真を撮る場合は「このままがきれい」な見た目だが、味わう時は「しっかり混ぜながら飲んでください」と丁寧に勧めている。

この2つの他にも岡山らしいメニューが並ぶ。

冷たい抹茶の上に泡沫状にしたモモのジュースを重ねている「モモ抹茶クラウド」。そして、「藍染煎茶ソーダ」は、混ぜると・・・淡いジーンズのような色に変化する。

岡山らしいメニュー「モモ抹茶クラウド」
岡山らしいメニュー「モモ抹茶クラウド」

◆岡山を代表する観光地・鷲羽山のにぎわい創出に一役 瀬戸内の多島美に日本茶の味と香り…「ここに来て、五感で感じて」

2026年のゴールデンウィーク期間中、鷲羽山ビジターセンターには2025年の113%にあたる約1600人が訪問。カフェのオープンは観光地のにぎわい創出に一役買っている。

「モモ抹茶クラウド」を手に、瀬戸大橋をバックに写真を撮ろうとしていた神奈川県からの観光客に話を聞くと「めちゃめちゃきれい」。記者にスマホで撮影した写真を見せ、「映え映えです。しかも晴れているからすごくきれいに見える」「穴場です」とうれしそうに話してくれた。

森田さんは「コーヒーも日本茶も香りが強く特徴があるものを選んでいる」としたうえで、特徴を持った香りを選ぶ理由について「思い出にすごく残りやすい」と話した。

鷲羽山を実際に「五感」で感じてほしい…カフェを立ち上げた背景にはそんな思いがある。

神奈川県からの観光客が撮影した写真
神奈川県からの観光客が撮影した写真

◆能登半島地震は観光客ガイドをしていた石川・七尾市で被災…震度6強の揺れに「歩けなかった」

三重県出身の森田さんは高校を卒業後、専門学校でダイビングのライセンスを取得。2017年に石川県七尾市に移り住み、能登島の沖に住み着く野生のイルカとの触れ合いを観光客にガイドする仕事をしていた。

ところが、2024年1月、能登半島地震が発生。森田さんが住んでいたエリアは震度6強。発災当時「逃げられないくらい揺れ、歩けなかった」という。自宅や勤務先も被害を免れることはできなかった。

森田さん家の中の物は踏み場ないくらい全部物が倒れて飛び散っていて、外に出ると家の外壁がはがれていた。約2週間、車中泊や友人の家を訪ね歩く生活が続いたという。

森田さんの自宅は半壊。今は取り壊されている。

能登半島地震発生直後の様子
能登半島地震発生直後の様子

◆自然の多島美の中に「人の営み」があることが好き…目の前で景色を感じられる幸せを提供

震災から1年後、森田さんは倉敷市へ移住することを決めた。

被災前に訪れていた瀬戸内の光景、鷲羽山から見える眺望。カフェを運営し始めて3ヵ月、森田さんが好きな「鷲羽山の景色」について、改めて語ってもらった。

「ここの景色で好きなのは人の営みがある。自然の多島美の中に人の営みがあり、船が動いている景色がすごく好き。カフェだけではなく、鷲羽山に来てほしい。おいしい物を提供していけば広く知られるだろうし、その中で大切にしている店のコンセプトの、来て(景色を)目の前で感じ、解像度を高められるということが伝われば」

KOTKA SETOUCHI 森田茜オーナー
KOTKA SETOUCHI 森田茜オーナー

森田さんのそばには、子供のころからいつも大好きな海があった。

穏やかな瀬戸内海と人々の温かさに魅せられ、この場所での森田さんの再チャレンジは始まったばかり。観光地である倉敷市児島地区を盛り上げたいと、近くの「ジーンズストリート」で新しい店のオープンを準備している。

(岡山放送)

客と談笑する森田さん(右)
客と談笑する森田さん(右)
岡山放送
岡山放送

岡山・香川の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。