6月13日と14日に実施した今回のFNN世論調査で、高市内閣の支持率は5月調査の68.0%から2.7ポイント下がり65.3%と、5月調査に続き下落した。

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支持率を下げた主な原因は「ナフサ」と「中傷動画」に関する高市総理大臣の説明にありそうだ。
調査結果を詳細に分析して背景を探る。

「政策」はプラス評価

高市総理は5月末、「夏場3カ月間の光熱費を補助する」と発表した。

対象は7~9月の電気・ガス料金で、標準的な家庭で合わせて総額約5000円の負担軽減になるとしている。

この政策について、「評価する」(22.4%)は、「どちらかと言えば評価する」(51.9%)と合わせて74.3%で、有権者が高く評価していることがわかった。
(「評価しない」=9.9%/「どちらかと言えば評価しない」=14.6%)

与党は、いわゆる“国旗損壊罪”の新設法案を今国会に提出したうえで、会期内に成立させることを目指して調整を進めている。

「国旗損壊罪」法案を自民党が正式に了承 9日
「国旗損壊罪」法案を自民党が正式に了承 9日

法案は、日本国旗を「人に著しく不快または嫌悪の情を催させるような方法・状態」で「自ら公然と損壊、除去または汚損する行為」や、その様子を撮影した動画や画像をSNSに投稿したりすることを禁じていて、違反には2年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金を科すとしている。

憲法が保障する「表現の自由」や「思想・良心の自由」を侵害しかねないと懸念する声があるほか、罰則付きとすることに反対の声もある。

「罰則付きの“国旗損壊罪”新設」について有権者に尋ねたところ、「賛成だ」と答えた人は56.9%で、「反対だ」(34.9%)を大きく上回った。

ナフサ「説明」はマイナス評価

政府・与党が進めている「政策」については多くの有権者が評価している一方で、高市総理の「説明」への評価は低い。

不安定な中東情勢が原油などの調達に影響し、事業者を中心に石油から精製するナフサの安定供給を不安視する向きが広がっている。

高市総理は、代替調達が進んだとして、ナフサから作る化学製品は「年度を越えて供給継続が可能」との見通しを示すとともに、塗料やシンナーの原料となるトルエンなどは最大で例年の1.8倍を供給できると強調したうえで、供給が不足しているとの声について、物量不足ではなく「流通過程における“目詰まり”の問題だ」と説明している。

ナフサ由来の化学製品「年度を越えて供給継続が可能」 2日
ナフサ由来の化学製品「年度を越えて供給継続が可能」 2日

この高市総理の説明について有権者に尋ねたところ、「納得できる」と答えた人は31.8%にとどまり、「納得できない」が60.2%に上った。

特に、高市内閣を「支持する」と答えながら、ナフサ供給不安に対する高市政権の説明に「納得できない」とした人が50.5%と約半数を占めた(「納得できる」=42.0%)ことに注目しておきたい。

“中傷動画”「説明」もマイナス評価

また、高市総理の秘書をはじめ陣営が、自民党総裁選挙や衆議院選挙で他の候補を中傷する動画の作成に関わったとする、いわゆる“中傷動画”問題は、報道に端を発し国会で野党が追及を続けている。

語気を強めて答弁する場面も
語気を強めて答弁する場面も

高市総理は、「絶対にうちの陣営ではしていない」などと否定し、関与を証言した男性と総理の秘書らによるオンライン会議の様子とされる音声についても、「秘書本人かどうか判断することは難しい」「私と会話している時より、かなり高い声で、はきはきとしゃべっていたので、違和感があった」などと国会で説明した。

この高市総理の説明に「納得できる」とした有権者は40.2%で、「納得できない」は過半数となる52.0%だった。

特に、高市内閣を「支持しない」と答えた人の89.0%が「納得できない」としている。

野党の立憲民主党は、高市総理の答弁に誠意がないなどとして、“中傷動画”に関与したとされる高市総理の秘書を、6月中に開催予定の参議院予算委員会の集中審議へ、参考人として招致することを求めているが、自民党は回答していない。

秘書の参考人招致の必要性について、FNN世論調査に応じた有権者の60.1%が「必要だ」とした。
(「不要だ」=35.6%)

意外性が感じられるのは、参考人招致を「必要」とした人の内訳だ。

“中傷動画”問題への高市総理の説明に「納得できる」とした人のうち、秘書の参考人招致を「必要だ」と答えた人は46.8%だった。「不要だ」と答えた人(49.9%)よりは少なかったが、僅差と言える。

また、高市内閣を「支持する」とした人の半数を超える52.4%が、秘書の参考人招致を「必要だ」と答えた。

いずれにせよ、高市総理の説明に納得できる、あるいは高市内閣を支持する、しかし総理の秘書の参考人招致は必要だとする人が、5割前後を占めている。

「支持しないから」「納得できないから」参考人招致を求めるという流れと比べると、若干意外性のある結果となった。

これについて、求めて集計した回答ではないので、調査結果のデータには表れないが、調査現場で取材した有権者の生の声からは、「総理が言うとおり問題ないのなら、参考人招致に応じたところで問題はない」「総理の説明に納得できない人が、秘書の参考人招致によって納得できるようになるなら応じた方がすっきりする」といった意見が聞かれた。

「何があったか明らかにするため」ではなく「何もないことをはっきりさせるため」に参考人招致に応じればいいという考えを示す有権者が一定数いたことを、調査データの背景を探る一助として報告したい。

総理の「説明力」が支持率左右か

5月調査で、「手取り増加を実感していない」人が88.0%、物価高に対する高市政権の取り組みに「不満がある」(21.1%)と「どちらかと言えば不満がある」(37.6%)を合わせて6割近くに上るなど、「政策」とその成果への不満が見られたことを受け、詳細分析に「物価高や中東情勢緊迫の長期化への対応が高市政権の行方を左右する極めて重要な要素であることが、改めて示されたのではないか」と記した。

6月調査では「夏場の電気・ガス代補助」や「“国旗損壊罪”新設」といった「政策」への評価は高かったが、「ナフサ供給懸念」や「“中傷動画”問題」などで高市総理の「説明」への評価が低いことが明らかとなった。

物価高は継続中で、その緩和策として高市総理が公約した「食料品の消費税減税」や「給付付き税額控除」も具体的な実施時期はいまだ見通せておらず、それら政策の成否は引き続き高市政権への有権者の支持を左右する一因であることに変わりはなさそうだが、6月調査の結果、高市総理の「説明力」が政権の命運を左右する要素として加わったと言えるのではないだろうか。

古山 倫範
古山 倫範

「新聞よりも易しく、情報番組よりも楽しく、報道番組よりも詳しく、誰よりもわかりやすく」を心がけてお伝えします。常に注目を集める分野より、たまにしか注目されず詳しい記者も多くはない地味でニッチな分野の取材に楽しさを感じて東奔西走中。政局より政策が好き。政策より乗り物が好き。乗り物なら鉄道が大好き。
フジテレビ社会部。モスクワ大学留学を経て早稲田大学第一文学部ロシア文学専修卒後、フジテレビジョン入社。遊軍、警視庁捜査一課担当、「とくダネ!」ディレクター、首相官邸サブキャップ、モスクワ支局長を経て防衛省、政治部デスク、外務省などを担当。「知露派であっても親露派にはならない」が口癖。