しかし、建物や道路が崩れ、火災も多発している状況で全員が一斉に徒歩で帰宅すると、次のような被害につながる危険性があります。

(イメージ)
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●群集事故
狭い道路に大量の人が集まると足元が見えにくくなります。また、発災時に交通量の調整や誘導のために警察官・警備員を配置することは難しく、多くの人が我先に帰宅しようと焦っている状態にあるため、将棋倒しになるような群集事故が起きやすくなります。

●二次災害
帰宅中に後発地震などが起こり、巻き込まれてしまう可能性があります。あまり詳しくない土地で被災するとパニックになりやすく、家族との安否確認も取りづらくなるといえます。

●救急車・消防車の進行の妨げ
大勢の人で道路が埋め尽くされてしまうと、救急車や消防車が思うように進行できず、災害対応が遅れてしまいます。

発災時の原則は「安全な場所に留まる」

大人数の徒歩帰宅には、さまざまなリスクがあります。そのため、東京都では職場または安全な場所で留まることを推奨しているのです。

「東日本大震災のときには歩いて帰れたから、今後大きな地震が起きたとしても歩いて帰れるだろう」と考えるのは危険です。

地震の発生場所や震度によって、被害が大きくなるエリアや帰宅困難者が集中するエリアは変わりますが、「まずは安全な場所に留まること」を念頭に置いて行動しましょう。

廣井悠(ひろい・ゆう)
東京大学先端科学技術研究センター教授。専門は都市防災・都市計画。

構成=有竹亮介

廣井悠
廣井悠

東京大学先端科学技術研究センター教授。専門は都市防災・都市計画。内閣府「首都直下地震帰宅困難者等対策検討委員会」座長、東京都「今後の帰宅困難者対策に関する検討会議」座長、内閣官房「防災庁設置準備アドバイザー会議」専門委員、内閣府「首都直下地震対策検討ワーキンググループ」委員、などを歴任。特に大都市の防災対策について、理論・実践ともに積極的に関わる。