秋田・鹿角市の夏に受け継がれてきた静かな盆踊りに、いま高校生たちの新たな息吹が吹き込まれている。担い手の減少が続く中、伝統を未来へつなごうとする若者たちの挑戦が、全国の舞台へと広がろうとしている。
地元の伝統「毛馬内の盆踊」に挑む
放課後、鹿角市の十和田市民センターに太鼓と笛の音が響く。
練習に励んでいるのは、鹿角高校伝統芸能同好会の6人だ。
彼らが取り組むのは、鹿角市十和田毛馬内に伝わる「毛馬内の盆踊」。毎年8月に行われ、ユネスコ無形文化遺産にも登録されている秋田県内有数の伝統芸能である。
大太鼓と笛に合わせて踊る「大の坂」と、歌のみで舞う「甚句」。どちらもゆったりとした所作の中に、厳かで独特な空気が漂う。
「伝統を残したい」という思い
活動の根底にあるのは、地域文化を未来へつなぎたいという強い思いだ。
鹿角高校伝統芸能同好会の青山海翔部長は「伝統を受け継いでいく人数がだんだん少なくなってきているので、毛馬内の盆踊に多くの人が参加してほしいと思っている」と語る。
地域で受け継がれてきた踊りを、高校生が担い手として守ろうとしている。
難しさと向き合う日々
しかし、その習得は容易ではない。
ゆったりとした動きの裏に、繊細なリズムと表現力が求められる。
榊優羽副部長は「ずっとやっていてもなかなか取れないリズムがあったり、踊りながら歌っているのでペースが乱れたり、全部が乱れてしまう」と、練習の難しさを話す。
踊りと歌を一体で表現する難しさに苦戦しながらも、部員たちは試行錯誤を重ねている。
地域に支えられる継承の輪
同好会の活動は、地域の支えによって成り立っている。
練習には毎回、「毛馬内盆踊保存会」のメンバーが訪れ、直接指導を行う。
保存会の馬渕大三会長は「伝統芸能を引き継いでくれる若手がいるのは、ものすごく励みになっている。みんな明るくて『楽しい』と言いながら集まっているので、子供たちも充実しているのではないかと思う」と高校生たちの姿に期待を寄せる。
地域と若者がともに築く継承の形が、ここにある。
全国の舞台へ 未来へつなぐ踊り
2026年夏、同好会は大きな舞台に立つ。
秋田県内で開かれる高校生による芸術文化活動の祭典「第50回全国高校総合文化祭(あきた総文2026)」だ。
榊副部長は「どんどん毛馬内の盆踊をやる人が減っている。私たちの同好会も人数は少ないが、その中でも技術を高めて、みんなが楽しくやって、自分が思った通りの披露ができたらいい」と意気込みを語る。
脈々と受け継がれてきた静かで優雅な盆踊りの輪に加わる高校生たち。彼らはただ伝統を守るだけでなく、自分たちの表現として磨き上げている。
その一歩一歩が、地域文化を未来へつなぐ確かな力となる。
(秋田テレビ)
