世界自然遺産の島、屋久島の山岳部で固有種の花が満開を迎えている。「ここ数十年で一番の咲き方」と観光協会が認めるほどの当たり年で、白や淡いピンク色に染まった投石平はまるで桃源郷のような絶景だ。山岳ガイドも「めちゃめちゃ咲いています」と驚嘆するほどの光景が、今まさに広がっている。
全国から登山客が押し寄せる、九州最高峰への道
天候に恵まれた5月30日、九州最高峰・宮之浦岳への登山口には早朝から多くの登山客の姿があった。東京、岡山、愛知など、全国各地から足を運んできた人々のお目当ては、いずれも「ヤクシマシャクナゲ」だ。

東京から訪れた人は「シャクナゲです。本当に楽しみです。今年はすごくきれいだと聞いたので頑張って歩いてみたい」と期待を膨らませる。岡山からの登山客も「シャクナゲが見られたらと思って」と笑顔を見せた。

目指すのは、シャクナゲの名所として知られる標高約1650メートルの投石平。登山口から片道3時間半ほどのコースだ。出発から50分ほどで、屋久島屈指の清流・淀川のほとりに立つ淀川小屋が姿を現す。澄んだ川のせせらぎが心地よく響く中、登山者たちはさらに歩を進める。道中には大木やこけが立ち並び、日本最南端の高層湿原である花之江河など、屋久島らしい風景が次々と顔をのぞかせる。険しい岩場をロープでよじ登ると、いよいよ目的地・投石平に到着だ。

「50年に1度の大当たり年」──地元も驚く花の勢い
投石平に広がるのは、鹿児島県屋久島町の花に制定されているヤクシマシャクナゲの群落だ。白や淡いピンク色の花が山々を彩り、その規模と美しさは地元の人々をも驚かせている。

種子島からやって来た登山客は「50年に1度の大当たり年とうわさを聞いて楽しみにしていたが、本当に素晴らしい」と感嘆した。毎年この山に登るという地元の登山客も「今年は特にシャクナゲ最高ですね。自然の美しさってやっぱり心にぐっときます」と目を細める。地元の子どもたちも「初めて見たけれどめっちゃきれいですね」と声を上げた。

観光協会によると、今年の咲き方はここ数十年で一番だという。17年間ガイドを務めるベテランの山岳ガイドも「過去一だと思う。めちゃめちゃ咲いています。すごいですよね今年。うわ!って咲いていますね」と話す。毎年山を歩いてきたプロが「過去一」と断言するほどの光景は、今年だけの特別な体験といえる。

見頃は今週いっぱい──台風の動向にも注意を
圧巻の絶景が広がる投石平のヤクシマシャクナゲだが、見頃は今週いっぱいまでとされている。また、県内に接近している台風の影響も気がかりな状況だ。訪問を検討している場合は、最新の気象情報や登山道の状況を事前に確認した上で計画を立てたい。

「ここ数十年で一番」と称される花の絶景は、今まさに見頃の最終盤を迎えている。
【動画で見る▶屋久島・投石平でヤクシマシャクナゲが見頃 「この数十年で一番の咲き方」】
