入院中は意識がはっきりしない時間も多く、幻覚を見ることもあったという。それでも不思議とはっきり心に残る存在があった。
「何しているかな、ご飯ちゃんと食べているかなって、福のことをずっと考えていました」
つらい時間の中で、福ちゃんの存在が大きな支えだったと米谷さんは振り返る。
「この子がいたから、私は強くいられたんだと思います」
その後、米谷さんは肝臓移植手術を受け、無事に回復。退院後、ついに福ちゃんと感動の対面…とはいかなかったようで。
「しれっとした様子でした。私のこと忘れてたんじゃないかと。それか意地悪されてたのかも(笑)」
最初はよそよそしい福ちゃんだったが、2日目には以前と変わらない態度で接してくれたのだとか。
過去には脱走劇も
番台猫デビューから5年半。福ちゃんは大津湯の“顔”として親しまれている。今では福ちゃん目当てに遠方から足を運ぶお客さんも多く、過去には海外から会いに来た人も。
そんな福ちゃん、過去に一度、米谷さんをヒヤリとさせた出来事がある。お客さんが自動ドアを開けた一瞬の隙に、外へ飛び出してしまったのだ。
「常連さんがお風呂上がりだったのに、汗だくになりながら、一緒に探してくれました」
その後、他のお客さんも捜索に加わり、福ちゃんの救助は無事成功。この一件で米谷さんは、福ちゃんはみんなに深く愛されている存在だと改めて実感したという。
