誰一人取り残さないように
大分県内で初めてとなる県立の夜間中学が大分市に開校して1か月が経ちました。
様々な世代・国籍の人が通う学校の授業の様子や、学び直しに喜びを感じる生徒の思いを取材しました。
◆夜間中学の生徒
「給食おいしい。いつもおいしい」
開校から1か月を迎えた大分市上野丘の「学びヶ丘中学校」です。一日の学校生活が始まるのは夕方から。
この日もまず、生徒と教師が食堂に集まり、給食を食べた後、授業がスタートです。
生徒たちは通常の中学校と同じ9教科を学びます。
40分の授業が1日4回で、教室には複数の教師がついて対応します。
夜間中学にはさまざまな理由で、十分な義務教育を受けられなかった人たちが通っていることから、それぞれの学力に合わせたサポートをするためです。
開校にあたって集められた経験豊富な教師たちはこの1か月、「誰一人取り残さないように」と日々、熱心な指導を心掛けてきました。
76歳で夜間中学へ挑戦 感じる学ぶ喜び
◆県立学びヶ丘中学校・山川 明宏校長
「学びの状況は一人一人違うので、その方々に合わせた授業を可能な限りしていこうとしている」
「個別に対応するところが先生にとっては大変かなと。ただ、生徒たちはやる気を持って、臨んでくれているので大変うれしい」
1期生として入学したのは37人。このうちの8人が外国にルーツを持っています。
また、ここで学び直す生徒たちの中には高齢者もいます。
その1人、大分市に住む首藤義久さん(76)です。
◆夜間中学に通う 首藤義久さん(76)
「とにかく明治かたぎの父親だったので、『きょう学校に行くことはならん』その一言だけ」
首藤さんは佐伯市宇目の出身です。
7人きょうだいの3男として生まれました。
実家は農家で、貧しい家庭だったといいます。
◆夜間中学に通う 首藤義久さん(76)
「家が貧乏だということは認識していた」
「夜中の11時、12時とか勉強していると、親がトイレに起きて、 灯りがついているとブチっと切るわけです」
「たぶん(電気代が)100円高くなったらまずいということで、親の懐具合からしたら『勉強することはならん』の一言だった」
農作業の手伝いで、満足に学校に通うことができなかったと言います。
そのことがずっと心残りだった首藤さんに訪れた学び直しの機会。
県内で初めての夜間中学ができると知り、挑戦を決めました。
入学してからのこの1か月、充実した日々を送れているそうです。
◆首藤義久さん(76)
「一言で言うと非常に楽しい中学校生活」
「学び直せるんだということを広めたい。後輩をどんどん増やしたい。我々は1期生だから」
開校から1か月、夜間中学にあふれていた喜び。
生徒たちの充実した表情が何よりも学びの楽しさを物語っています。