ドライバーが気軽に立ち寄れる物流拠点へ 米子市の運送会社が次世代型施設を整備

ドライバーが自由に立ち寄り、シャワーを浴び、温かい食事をとれる場所。
そんな”当たり前”が、これまでのトラック物流には足りなかった。

鳥取・米子市の運送会社・二チラス運輸が、米子インターチェンジ近くに次世代型の物流拠点を完成させた。
倉庫5棟を備えるだけでなく、コインシャワーや休憩スペースを完備し、他社のドライバーも自由に利用できる「ドライバーファースト」の施設として注目を集めている。

休めと言われる現場と休めない実態 基準改正後も続く物流の矛盾

物流業界では2024年問題を機に、ドライバーの働き方改革が加速した。
さらに2025年の基準改正によって、トラック運転手は一定の間隔で休憩をとることが義務付けられた。
しかし、制度が整っても現場の課題は残る。

大型トラックが停められる駐車場は限られており、仮眠や休憩のためのスペースも慢性的に不足している。
コンビニに立ち寄ることすら容易ではないトラックドライバーにとって、「休む場所を確保する」こと自体がハードルになってきた。

その矛盾について、二チラス運輸の田城敏史社長は、「休憩をしっかりとって安全に運行することを命題に取り組んでいる。ただそのなかで、ドライバーが休憩する場所、身だしなみを整える場所などのハードの部分が足りていない」と語る。

二チラス運輸・田城敏史社長
二チラス運輸・田城敏史社長
この記事の画像(6枚)

大型トラック60台分の駐車場にシャワーと休憩スペース 他社ドライバーにも開かれた新物流拠点

新拠点が用意したのは、約60台分の大型トラック用駐車スペース。
その一角に設けられた休憩コーナーとシャワールームは、二チラス運輸のドライバーだけでなく、他社のドライバーも自由に利用できる。

走行中に積み重なる疲労、停車中に過ごす長い待機時間。
そうした日常のなかでシャワーを浴び、身を整えられる場所は、体の回復だけでなく気持ちの切り替えにも直結する。

施設の「ドライバーファースト」という理念は、こうした具体的な設備の積み重ねによって形になっている。

施設内に完備されたシャワールーム
施設内に完備されたシャワールーム

“食が偏りがち”なドライバーに温かい食事を キッチンカーも出店 

駐車場には、キッチンカーも出店する。
また、米子市内の福祉施設が弁当の販売も行い、ドライバーが食事をゆっくりとれる環境を整えた。

キッチンカーのスタッフは、「トラックは車体が大きいので、コンビニなどで済ますことが多く食が偏りがちだと思うので、キッチンカーを利用いただきリフレッシュしてもらえれば嬉しい」と話す。

大型トラックを駐車できる飲食店は少ない。
コンビニ弁当や菓子パンで食事を済ませるドライバーは珍しくなく、栄養の偏りや食事時間の短さは長年の課題だ。

キッチンカーによる温かい一皿は、そうした現実への小さくも確かな答えである。

キッチンカーのスタッフたち
キッチンカーのスタッフたち

全国のドライバーが行き交う山陰の「結節点」に 自社利益を超えた挑戦

「 山陰のなかで、ここ米子インターが物流の要所となります。広く全国の皆様に、山陰を中心に運んでいるドライバーの皆様に使っていただけることがこの拠点の大きな強みと感じている」と田城社長は話し、この拠点に込めた思いは自社の利益にとどまらない。

米子インターチェンジは、山陰地方における物流の結節点だ。
全国各地から集まるドライバーが立ち寄れる開かれた施設とすることで、地域全体の物流網を支える拠点を目指している。

二チラス運輸・田城敏史社長
二チラス運輸・田城敏史社長

米子インター物流拠点が目指す“休める環境”とドライバーの未来

物流拠点は5月の大型連休明けから本格稼働している。

二チラス運輸は、この取り組みが物流業界全体の労働環境の改善や、ドライバーという職業のイメージアップにつながることを期待している。

安全運行の根本は、休むことにある。
その“当たり前”を実現するための場所が、山陰に生まれた。

施設に整備された約60台分の大型トラック用駐車スペース
施設に整備された約60台分の大型トラック用駐車スペース
TSKさんいん中央テレビ
TSKさんいん中央テレビ

鳥取・島根の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。