石油から精製される化学原料「ナフサ」の供給不安が、私たちの日常生活に静かに、しかし確実に影響を広げています。
2026年5月20日放送の関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」では、コメンテーターの橋下徹氏が、政府の楽観的なメッセージと現場の実態の乖離について鋭く切り込みました。
■“カラーから白黒に” パッケージが変わり始めた
石油関連製品の値上げや品薄が相次いでいます。
カルビーのポテトチップスは、今後パッケージが白黒になると発表。
カゴメのケチャップはトマトのイラストが減り、日清製粉ウェルナはパッケージからゆで時間の表記をなくしました。
食料品のパッケージへの影響が次々と表面化しています。
■「1日で大阪府の面積分」を製造する工場の悲鳴
梱包材の”プチプチ”(川上産業の商標)も、6月から10〜20%程度の値上げが予定されています。
川上産業では1日に、富士山の表面積1.5周分、東京23区の3倍、つまり大阪府の面積と同じほどの”プチプチ”を製造しているといいます。
同社の事業管理課・小森智課長は「供給不安から通常時の1.5倍製造している。休みを返上するなど、作る社員の肉体的・精神的疲労がたまっていくので、必要な分だけ買ってほしい」と訴えます。
■政府は「大丈夫」 しかし現場は…
政府の姿勢は一貫しています。
高市総理は5月12日、「原油の代替調達は、5月はおよそ6割実現できる見込み。6月はおよそ7割以上めどが立った」と述べました。
鈴木農林水産大臣は「ナフサ由来の製品の供給については、年を超えて継続できる見込み」、赤沢経済産業大臣も「日本全体として必要となる量は確保できている」と強調しています。
しかし橋下氏は、この「大丈夫」連発に疑問を呈します。
【橋下徹氏】「大丈夫じゃないのに、大丈夫だと言って落ち着かせる、そういうことを政治家は一番やっちゃいけない。
日本社会がひっくり返るほど少なくなっているという話ではないと思う。だからといって価格が安定するほど量が確保できている話でもない」
橋下氏は、民間企業がすでに現場の感覚で供給不足を見越し、価格が上がり始めていると指摘しました。
■なぜ現場と政府でかい離が生じるのか
神戸国際大学の中村智彦教授は、「原料の価格が高騰し、供給量が見通せないため、採算上モノが作れず、供給が不安定になっている」と解説します。
ナフサはそもそも備蓄に適さない原料なのです。揮発性が高く蒸発してしまうため、原油からナフサを精製したらすぐに製品化しなければなりません。
全体量が”確保できている”とされても、商社、メーカー、卸・小売業者へと流れる現場の最前線まで十分に届いているかは、別の話だといいます。
住宅設備にも影響が出ています。LIXILは8月3日受注分からトイレ・浴室など平均13%程度の価格改定を実施予定で、外壁・屋根、住宅サッシ・ドアにも順次値上げが及ぶ見通しです。
■「経済活動を止めずに工夫できる節約を呼びかけよ」
共同通信の調査では、資源の節約・省エネの強化について「政府が呼びかけるべき」と答えた人が70.5%に上りました。「必要ない」は25.4%でした。
橋下氏はこの数字を踏まえ、政府の対応に注文をつけます。
【橋下徹氏】「高市さんが恐れているのは、経済が冷えてしまうこと。でも節約の仕方には2種類ある。商品パッケージの工夫のような節約は、商品の売買活動に影響しない。もっと工夫ある節約を呼びかけたらいい」
ラーメン屋の器を黒色にする動きがあることを紹介。白い器を作る方が、不純物をとるためにナフサがすごい必要になるため、黒い器の方が「ナフサ節約」につながるというのです。
橋下氏は「経済活動を止めずに、こういうことをしっかり工夫していきましょうよということを、政府が大号令出せばいい」と語りました。
■「有事の練習として、国民運動が必要だ」
1973年の第一次オイルショックでは、トイレットペーパーがスーパーの棚から消え、エスカレーターが止まり、大阪城の明かりが消えました。あの光景が示すように、資源不足は社会の隅々まで影響をもたらします。
橋下氏は今回の状況を、単なる物価問題にとどまらず、安全保障の観点から捉え直す必要があると訴えます。
【橋下徹氏】「現場が実生活に影響が出ているのに、大本営発表が『大丈夫だ』と言う。国民も政府の発表を信じなくなる。もっと正確に言ってもらいたい。
ミサイルをそろえたり防衛力の強化も必要だが、それと同時に資源確保のための国民運動みたいなものも必要だと思う。有事の練習として、こういう場合にはこれぐらいの国民行動をやりましょうよ、ということをやる必要がある」
エネルギー安全保障は、海に囲まれた日本にとって最重要課題の一つです。
イラン情勢が見通せない中、ホルムズ海峡の状況次第では、ナフサショックの長期化も避けられない見通しです。
(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2026年5月20日放送)