結婚後も別の男性との交際を続ける中、二重生活にストレスを感じ、男性の母親の手を借りながら絞殺として起訴された女の裁判で、検察は拘禁刑15年を求刑しました。一方で、弁護側は拘禁刑6年が相当と主張しています。
殺人罪で起訴されているのは神奈川県松田町に住む無職の女(55)で、2025年9月、夫がいるにもかかわらず結婚前から交際を続けていた男性(当時56)を男性の母親と共謀し、窒息死させた罪に問われています。
検察側の冒頭陳述によりますと、女は33年前に知人の紹介をきっかけに男性と知り合い交際を始めると、一度は破局したものの復縁しました。
その後、2011年頃に職場で知り合った現在の夫との交際を開始すると、4年後に結婚。
ただ、夫には男性との交際関係を隠し、男子にも結婚の事実を伝えず関係を継続したことがわかっています。
2018年頃になると男性が仕事を辞めて無職となり、家に引きこもるようになったため、女は週に数回は自宅を訪れ、酒やタバコなど頼まれたものを買って持って行ったり、携帯電話の料金を支払ったり、洗濯をしたりと身の回りの世話を続け、悪態をつかれても、「おばさん」と呼ばれても、交際関係に変化はありませんでした。
しかし、仕事の忙しさも相まって次第に強いストレスを募らせるようになり、「男性が死んでくれたらいい」「男性がいなくなれば自分の生活が楽になる」と考えるようになったということです。
5月20日の裁判で、検察は女の二重生活について「永続可能なものではなく、いずれ限界に達するもので破綻は必至だった」と指摘しました。
また、女にとって二重生活の継続が多大な負担となり「ストレスの原因となっていたことは理解できる」とする反面、「夫にも黙って二重生活を続け、長期間にわたって誰にも相談せずに問題を先送りにしてきたことによる結果であり、被告自身が正当な方法で解決すべき課題であったし、二重生活の継続が困難になったのならば、そのことと正面から向き合い男性との関係を清算する方法を模索するべきだった」と強調しています。
さらに、女が裁判の中で「夫の存在や別れを告げれば、男性が逆恨みをして危害を加えてくるかもしれないと思った」と述べていた点についても、「あらかじめ警察をはじめとする公的機関に相談するなど他に取り得る手段は十分にあり、万策尽きてしまっているというような状況にはなかった」との見解を示し、「周囲への相談といった手段を取ることなく、短絡的かつ身勝手に男性を殺すことで自らが始めた二重生活を終わらせようとしたのであり、動機や経緯は酌むべき事情に乏しい」と厳しい口調で非難しました。
その上で、男性が女に対して過去に暴力を振るっていた事実は認めつつ、「20年以上にわたり暴力はなく、事件当時、男性は体が弱っていて危害を加えるおそれは乏しかった」とし、「男性が交際関係の継続や面倒を見ることを強制していたわけでもなく、態度は横柄であったと言えるが、殺害されるような落ち度があったとはいえない」と述べています。
加えて、女が犯行前夜に絞殺に使用するネクタイを準備していたことから一定程度の計画性が認められ、殺害行為に被害者である男性の母親を巻き込んだことも強い非難に値するほか、当初は「『殺してくれ』と言われた」と虚偽の供述をして自身の責任を軽減させようとする行動を取ったなどとして拘禁刑15年を求刑しました。
これに対し、弁護側は「計画性が高いとは言えない」などとして拘禁刑6年が相当と主張していて、判決は5月22日に言い渡されます。