結婚後も別の男性との交際を続ける中、二重生活が立ち行かなくなり、男性の母親の手を借りながら窒息死させたとして起訴された女の裁判で、検察は拘禁刑15年を求刑した。
殺人罪で起訴されている神奈川県松田町の無職の女(55)は、2025年9月、夫がいるにもかかわらず結婚前から交際を続けていた男性(当時56)を男性の母親と共謀し、窒息死させた罪に問われている。
検察側の冒頭陳述によれば、女は33年前に知人の紹介をきっかけに男性と知り合い交際を始めると、一度は破局したものの復縁。
2015年頃には職場で知り合った現在の夫と結婚するが、夫には男性との交際関係を隠し、一方で男性にも結婚した事実を伝えず関係を継続したことがわかっている。
男性は2018年頃に仕事を辞めて無職となり、家に引きこもるようになったが、女は週に数回は自宅を訪れ、酒やタバコなど頼まれたものを買って持って行ったり、携帯電話の料金を支払ったり、洗濯をしたりと身の回りの世話を続けた。
こうした中、男性は当初こそ謝意を示していたものの、次第に世話をしてもらうことが当然であるかのような態度に変わり、難癖をつけたり、悪態をついたりするようになる。
そして、2025年になると男性は女について「おばさん」と呼ぶようになり、女は仕事が忙しくなったこともあって強いストレスを感じるようになったという。
5月20日の裁判で、検察は被告の二重生活について「永続可能なものではなく、いずれ限界に達するもので破綻は必至だった」と指摘。
女にとって二重生活の継続が多大な負担となり「ストレスの原因となっていたことは理解できる」とする一方で「長期間にわたって、誰にも相談せずに問題を先送りにしてきたことによる結果であり、被告自身が解決すべき課題であった」と強調した。
その上で、「男性が交際関係の継続や面倒を見ることを強制していたわけでもなく、態度は横柄であったと言えるが、殺害されるような落ち度があったとはいえない」と述べ、事前に凶器を準備していたことから一定程度の計画性が認められる強い殺意に基づいた悪質な犯行で、殺害に男性の母親を巻き込んだことも強い非難に値するなどとして、拘禁刑15年を求刑している。
これに対し、女は裁判の中で「夫の存在や別れを告げれば、男性が逆恨みをして危害を加えてくるかもしれないと思っている」と話し、弁護側は「計画性が高いとは言えない」などとして拘禁刑6年が相当と主張した。
判決は5月22日に言い渡される。