栃木県宇都宮市で5月1日、突風によりフェンスが倒壊し屋根が損傷するなどの被害が出ました。その原因は「ダウンバースト」。聞きなじみのない言葉かもしれませんが、これから夏にかけて急増する突風の一種です。過去には福井県内でも死者が出る被害を引き起こしています。突風はいつ、どんな仕組みで発生するのか、そして身を守るために何に注意すればよいのか、村田光広気象予報士が解説します。

夏に向けて急増する突風、その理由は「積乱雲」

突風は一年中発生しますが、夏にかけて件数が大きく跳ね上がります。1991年から2026年のデータによると、全国の突風の月別発生件数は7月が約90件でピークを迎え、8月が約65件と続きます。一方、冬の2月や11月はほぼゼロ件です。
 
夏に多い理由は、地上付近の気温が30度を超えるような高温になると、上空との温度差が非常に大きくなり、積乱雲が発達しやすくなるためです。この積乱雲こそが、突風を引き起こす元凶となります。

突風には3種類ある

突風といっても、その種類は一つではありません。大きく「竜巻」「ダウンバースト」「ガストフロント」の3つに分けられます。
 
▼竜巻は強い上昇気流によって激しい渦巻きが発生する現象で、比較的よく知られています。
 
一方、夏に急増するのはダウンバーストとガストフロントです。
  
▼ダウンバーストは、積乱雲の中に冷たい空気が溜まると、地上に向かって一気に下降気流として吹き出す現象です。地面にぶつかった後、周囲に向かって広がっていくのが特徴で、今月の宇都宮での突風被害もこのダウンバーストが原因でした。
 
▼ガストフロントは、ダウンバーストが広がっていった先の部分で、暖かい空気とぶつかることで気流が乱れ、突風が発生します。ダウンバーストとガストフロントは、一連で発生することが多いとされています。

過去には「最大瞬間風速29.7メートル」敦賀市で死者1人

過去には、福井県内でもこの突風による大きな被害が発生しています。2008年7月27日、敦賀市で激しい雷雨に加えて突風が吹き、最大瞬間風速29.7メートルを観測しました。イベント会場に設置されていた大型テントが飛ばされ、1人が亡くなり、11人が負傷するという痛ましい事故となりました。その原因はガストフロントでした。
 
突風は決して「どこか遠くの話」ではありません。身近な場所で、命に関わる被害をもたらすことがあるのです。
 
突風から身を守るために、注意すべき気象情報は2つあります。
 
▼雷注意報は、発生の半日から数時間前を目安に発表され、突風や竜巻への注意が呼びかけられます。
 
▼竜巻注意情報は危険が差し迫った約1時間前に発表されます。有効期限は1時間ですが、延長して発表されることもあります。
  
これらの情報を見逃さないようにすることが、まず最初の備えとなります。

「ひやっとした風」を感じたら、すぐ避難を

気象情報とあわせて、空の変化や体感にも注意が必要です。
▼ 暗い雲が近づいてくる
▼ 遠くで雷の音が聞こえる、または雷が光る
▼ひやっとした冷たい風が吹き出す
 
暗い雲や雷は「発達した積乱雲が近づいているサイン」です。さらに、冷たい風が感じられた場合は、すでにガストフロントの風を受けていると考えてください。すぐに突風が吹いてくる可能性がありますので、とにかく頑丈な建物の中に避難するようにしてください。
 
夏本番を前に、突風に関する知識をしっかりと身につけておきましょう。気象情報はもちろん、空の様子や体で感じる変化にも日頃から目を向けておくことが、自分と周りの人の命を守ることにつながります。

福井テレビ
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