中東情勢の緊迫化による原油価格高騰を受け、福井県内の銭湯でつくる県浴場組合は8日、県に財政支援を求める緊急要望を行いました。
 
アメリカとイランとの軍事衝突から2カ月余り。先行きの見えない原油高騰は県内事業者の存続危機にまで及んでいます。
 
福井市足羽にある創業90年の「たきのゆ」は、長年地域に親しまれる老舗の銭湯です。
 
大人1人当たりの入浴料は530円。近年の物価上昇を受け、今年1月に値上げに踏み切りました。しかし、中東情勢の緊迫化で、すでに料金の維持が難しくなっているといいます。
    
銭湯の命ともいえるのが、湯を沸かすためのボイラーの燃料として使われることが多いA重油。その仕入れ値が、ここ1カ月で1.5倍以上に跳ね上がったのです。
  
たきのゆを経営する長谷川多聞さんは「1リットルあたり50円アップして140円になった。4月の月間使用量は8000リットルなので、40万円のコストアップ」だと嘆きます。 
   
燃料費の高騰を受け、4月からは営業時間を1時間短縮したり、ボイラーの設定温度を下げて燃焼効率を高めるなどの工夫で対応しているものの、苦しい経営状況が続いています。
  
「本当に、銭湯の存亡の危機です。世界的な原油不足が、お湯を沸かしてなんぼの商売にこんなに直結するとは思っていませんでした」(長谷川さん)

切実な状況が続く中、長谷川さんが理事長を務める銭湯の同業組合は8日、県に対し緊急の財政支援を要望しました。
    
銭湯の入浴料金は事業者が自由に決められるものではなく、知事の了解が必要です。
 
今年1月に値上げした際には、申請から約5カ月を要しました。中東情勢に端を発した燃料費高騰への対応として、値上げではなく財政支援を求めた背景には、このタイムラグに耐えられないという銭湯側の悲痛な叫びがあります。
  
「インフラにも準ずる立場なので、今回の要望で支援してもらいたい」と長谷川さんは訴えます。
 
原油価格高騰を受け、県は6月初旬に国に支援を要請する予定で、8日の組合の要望内容を含め、重油の確保や財政支援について強く求めていく方針です。

銭湯は多くが小規模経営です。ピーク時には県内に約1500カ所あった銭湯も、今はわずか11カ所。このうち8カ所でA重油(原油)を使用しています。取材した「たきのゆ」は最も規模が大きいため、コストアップの影響は最小限に抑えられているものの、他の銭湯ではさらに経営へのダメージが大きいとのことです。
   
中東情勢の影響を受け、営業時間の短縮や休業日を増やすなど、検討段階も含めると組合に加盟する県内11の銭湯のうち8カ所に上っています。
 
先の見通せない原油の高騰が、銭湯に暗い影を落としています。

福井テレビ
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