「龍馬パスポート免許皆伝」…その凄さとは?
2020年9月、高知さんさんテレビに宮崎・延岡市の小学校の教頭から1通の手紙が届いた。
手紙の内容は、「本校で(おそらく宮崎県で)初めて踊る『この地へ』の取材に来ていただけないでしょうか。」というもの。
宮崎はさすがに遠すぎる…。
さらに読み進めると…
「私たち(私と妻)は9月20日(日)~22日(火)に龍馬パスポートゴールド10段終了(免許皆伝)手続きのため、高知へ行く予定です」

龍馬パスポート免許皆伝!?
県内の観光地で割引などの特典が受けられる「龍馬パスポート」は、スタンプを集めるとランクアップする仕組みで、最終ステージ「ゴールド」をクリアすると「殿堂入り」に。

さらにその上にあるのが「免許皆伝」。
実に、96カ所のスタンプが必要なゴールドパスポートの達成11回分。
これまでに免許皆伝したのは、23万人のパスポートユーザーの中で、たった42人しかいない。

どれだけ高知が好きなのか!?
気になるあまり、高知駅前で待ち合わせをすることにした。
延岡市立伊形小学校 北野智将教頭:
すみません、わざわざお越しいただいて…
記者:
こちらこそ、ようこそ高知にお越しくださいました
こちらがメールをくれた宮崎・延岡市伊形小学校の北野智将教頭(59)と、妻の直美さん(47)。

延岡市立伊形小学校 北野智将教頭:
3連休があるたびに、よく(高知に)来ていました。多い時には月に1回とか2回とか
2人は、2014年の息子さんの高知大学進学をきっかけに高知にハマりはじめ、行った名所は数知れず。
宮崎から片道5時間以上かけ、高知県民以上に高知を遊びつくした。

その結果、宮崎という遠方にも関わらず、2016年の「龍馬パスポート」申請から4年というスピードで免許皆伝となった。
今のお気持ちは?
延岡市立伊形小学校 北野智将教頭:
もううれしいですね
直美さん:
うれしい
延岡市立伊形小学校 北野智将教頭:
(利用者23万人のうち)38番・39番、とってもうれしいです。ますます高知を広めます
「よさこい祭り」史上初の中止がきっかけに
ただ、高知と宮崎は温暖な気候など似ている所も多いように感じるが…
延岡市立伊形小学校 北野智将教頭:
一番言っているのは、志があるかないか。高知の人には志がある。龍馬をはじめ、いろんな幕末の志士もいる。いろんな所を見て回っているとすごいなぁって。ところが宮崎は、そこが弱いなぁ
北野夫婦はこの夏、新たな高知県民の志に触れた。
それが「よさこい」だった。

2020年 新型コロナウイルスの影響で、祭りが史上初の中止となった。
そこで、「よさこい人」たちはインターネットで動画を集め、みんなで踊るよさこいを実現させた。
この中に、北野夫婦も!
見る専門だった2人が、はじめて踊った瞬間だった。

延岡市立伊形小学校 北野智将教頭:
踊ってみて、初めてすごさっていうか、素晴らしさが余計に実感できました。踊ってみないとわからんよって
これをきっかけに、2020年の運動会で「よさこい」を取り入れることにしたという。
コロナで多くの学校行事が中止となる中、高知の「よさこい」で子どもたちを元気にしたい!
そんな北野教頭の情熱を知った高知さんさんテレビは、宮崎の運動会へと向かった。
運動会で初の「よさこい」披露
大分県との境に位置する人口12万人の工業都市、宮崎・延岡市。
全校児童310人の伊形小学校は、この日、運動会を迎えた。

新型コロナの影響で学校にも閉塞感が生まれる中、高知大好きな教頭が、運動会に初めて「よさこい」を取り入れることにした。
延岡市立伊形小学校 北野智将教頭:
もう今日の日を迎えられるのが感謝でいっぱいです。ようやく皆さんに、よさこいの良さを知っていただくということでとってもうれしい

北野教頭、もう「よさこい」で頭がいっぱい。
延岡市立伊形小学校 武田智子先生:
お茶目な先生です。長期休暇のたびに高知に行かれているのはよく知っていました
延岡市立伊形小学校 請関援先生:
いつも高知のお土産をいただいたりしていて、私もおいしいなぁと思いながら、いただいている
教師の間に「高知」を広めるのは成功しているようだが、子どもたちは…?
子どもたちに「高知県といえば?」と聞いてみると…。
「さかな」、「阪神タイガース」、「坂本龍馬」…と知名度はぼちぼち。
ーーそもそも高知の「よさこい」は知っていた?
児童:
知らなかった
児童:
(よさこいは)知らなかったけど、教頭先生の踊りを見て楽しそうだと思いました
北野教頭直伝のよさこいを踊るのは、6年生55人。1カ月半、練習を重ねてきた。
そして、衣装に着替えて登場した北野教頭は踊る気マンマン。
延岡市立伊形小学校 北野智将教頭:
自前です。頑張ります!楽しみます!

踊るといえば、運動会では6年生がこの地区に400年前から伝わる「伊形花笠踊り」を披露するのが恒例。
県と市の無形民俗文化財である伝統の舞を受け継ぐ児童や保護者に、高知の「よさこい」はどう映るのか。

延岡市立伊形小学校 北野智将教頭:
きょう、よさこいを踊れることに感謝して、コロナに負けず、前を向いて、笑顔で踊ろうやー!ほいたらいくぜよ!
戦後、前を向くためにはじまった「よさこい踊り」。
今こそ一緒に踊ろう!


踊り終わって…
保護者:
心がこもっていて、素晴らしかったと思います
保護者:
感動しました
よさこいを踊った6年生:
一体感ができてよかったです。同窓会とかで何年か経ったときに、また笑顔で踊れるようにしたいです
宮崎の子どもたちに、よさこいスピリッツが届いたようだ。
延岡市立伊形小学校 北野智将教頭:
とっても楽しかったです!前で踊っていて、子どもたちも笑顔いっぱいで、来年もし私がこの学校におったら、許されるんだったら、また踊りたいですね
記者:
もちろん先生も踊る?
延岡市立伊形小学校 北野智将教頭:
もちろん踊ります!
1人の高知好きが、宮崎にまいた「よさこい」の種。
どんな困難にあっても、前を向いて進むたくましさが根を張りますように。
(高知さんさんテレビ)