民間運営で新たなスタート 総事業費2億5000万円かけリニューアル
島根・松江市にある温泉施設「大森の湯」が、2億5000万円をかけた大規模改修を経て民間運営による新たなスタートを切った」。
オープニングセレモニーに出席した松江市の上定市長も「サウナだけに、しっかりととのった」と笑顔を見せた。
リニューアルされた施設の特徴を取材した。
「お湯がいい」「また来たい」 再開初日から好評
松江市宍道町の日帰り温泉施設「大森の湯」が、4月15日に営業を再開した。
2020年秋から約6年にわたって休館が続いていた施設が、民間の力を得て生まれ変わった瞬間だ。
オープニングセレモニーには松江市の上定市長や運営会社の関係者が出席し、節目を祝った。
訪れた利用客からは「待ちに待ってました。すごくオープンに期待していました」、「お湯がとてもよいので、ぜひともまた来たい」といった声が相次ぎ、地域の根強い期待がいかに大きかったかを物語っていた。

本格サウナに充実した休憩室 一日過ごせる温浴施設に
リニューアルした施設の中心はもちろん温泉だ。
内風呂と外風呂が用意されているが、今回の目玉はなんといってもサウナである。
取材した記者も「新しいサウナと聞いて体験しないわけにはいきません」と実際に入室。
施設は本格的なフィンランドサウナで、熱した石に水をかけて体感温度を上げる「ロウリュ」も楽しめる。
サウナ室は低温と高温の2種類が用意され、一方の壁には地元産の「来待石」を使うというこだわりぶりだ。
水風呂でクールダウンした後は、充実した休憩室でゆっくり「ととのう」ことができる。
広いスペースには漫画3000冊に雑誌も揃い、1日中滞在することも十分可能だ。
飲食施設も設けられており、サウナ後の食事、いわゆる「サ飯」も楽しめる。
まさに面目一新のリニューアルと言えるだろう。

休館から再生まで6年 公民連携でたどり着いた“ととのう”までの道のり
ここまで施設が「ととのう」には、長い道のりがあった。
「大森の湯」は2001年、合併前の旧宍道町が整備した施設だ。
松江市と合併した2005年以降は第三セクターが管理・運営を担ってきたが、施設の老朽化によって2020年秋に休館を余儀なくされた。
改修費が数億円に上ることが判明すると、市は隣接する飲食施設と合わせて民間への譲渡方針を決定した。
しかし、その道のりは平坦ではなかった。
多額の改修費がネックとなり、最初の公募では譲渡先が見つからなかったのだ。
その後、改修費補助の上限を引き上げて再募集を行い、2025年になってようやく、ビルメンテナンスなどを手がける松江市の会社・さんびるホールディングスが譲渡先に決定。
10年間の温浴施設としての運営を条件に、土地は無償で譲渡された。
上定市長は「時間はかかったが、一番いい形で公民連携の温浴施設の再生がかなったということをうれしく思う」と振り返った。
そして記者からの「人を呼び込む環境がととのった?」という質問には、「サウナだけに環境が、しっかりととのった」と笑いを交えて答えた。

地域を“沸かす”存在へ
新たな運営会社・さんびるホールディングスは2億5000万円をかけて大規模改修を実施。
休館直前には利用客の減少にも悩まされていた同施設だが、今回のリニューアルでは出雲市や米子市からの集客も見据えている。
田中正彦社長は「地域だけだと地域で終わってしまうので、県外からも人を呼べるぐらいの温浴施設にしたい」と力強く語る。
本格サウナや充実した休憩スペース、飲食施設の整備は、その意気込みを体現したものといえる。
老朽化した「箱もの」の活用という松江市にとっての長年の懸案が、民間の活力によって一つの決着を迎えた。
民間の力で再び地域を「沸かす」「熱い」存在になれるのか再出発した「大森の湯」への期待は大きい。

