長野県軽井沢町に住む中学生ジャグラー。2025年に行われたジャグリングの全国大会で準優勝した実力者で、先日、初めて「大道芸」の舞台に立ちました。初めてとは思えない、堂々たるパフォーマンスで観客を驚かせました。
■桜舞う城跡で大道芸デビュー
4月5日、恒例の千本桜まつりでにぎわう上田城跡公園。その一角に、ひときわ目立つ人だかりが―。
この日、行われていた「大道芸」です。その中でも特に会場を沸かせていたのは、軽井沢町の中学3年、小緑謙介さん(14)のパフォーマンスです。
小緑謙介さん(14):
「実際に舞台に立ってお客さんを前にして人を楽しませられるのは楽しいと思いました」
実は、謙介さん、全国屈指のジャグラーなんです。
2025年、松本市で開催された日本最大級のジャグリングの全国大会。謙介さんは男子個人部門に最年少で出場。第一線で活躍するパフォーマーもいる中、見事、準優勝に輝きました。
小緑謙介さん:
「表彰式で自分の名前が呼ばれたときは本当に信じられなかった」
■マジックからジャグリングへ
謙介さんがジャグリングを始めたのは小学3年生のころ。趣味で行っていた「マジック」がきっかけでした。
小緑謙介さん:
「マジシャンがトランプでジャグリングをしてる動画をYouTubeで見つけて、それを見てやりたいなと思って、まずは基本のボールからということで、ボールジャグリングを始めたのがきっかけ」
しばらくはマジックとジャグリングの両方を楽しんでいましたが、家族旅行で見かけた大道芸人のステージに刺激を受け、ジャグリングにのめりこむようになりました。
小緑謙介さん:
「目の前で、7個のボールのジャグリングをしていたり、5つのクラブのジャグリングをしていたりするのが見られて、たくさん個数使ってジャグリングをしたいと思ったのがすごく大きかった」
■技を競う「採点スポーツ」
ジャグリングは、「物を次々に投げ上げる曲芸」という意味で、日本には奈良時代に中国から伝わったとされています。
謙介さんが今、取り組んでいるのは「競技ジャグリング」で、技の難易度、完成度、表現力などを評価される、いわば「採点スポーツ」です。
小緑謙介さん:
「競技ジャグリングは、難しい技をいかにミス少なくできるか。大体5分以内くらい曲に合わせてジャグリングの演技をする。(フィギュアスケートみたいな?)本当にそんな感じ」
■世界初成功、世界最年少記録も
競技歴は7年。全国準優勝の”実力”を見せてもらいました。
小緑謙介さん:
「一番基本の技は『カスケード』といって、3つのボールで、交互に右手のは左手、左手のは右手、交互にボールを投げる」
まずは基本技の「カスケード」。
小緑謙介さん:
「これは個数が増えても一緒で、例えば5個でもずっと反対の手に投げています」
続いては―。
小緑謙介さん:
「腕を交差させる『ミルズメス』という技。3つ(ボールを使う技)の中でも基本的な技」
腕を交差させながら投げ続ける複雑な技です。
小緑謙介さん:
「新しい個数のミルズメスを練習するときは、次にどのボールを取ればいいのか、次にどのボールを投げればいいのか、というのがわからなくなってくる」
謙介さんが得意としている技は―。
小緑謙介さん:
「『97531』というのはボールが縦に並ぶ技。この系統がすごく得意」
ボールをそれぞれ異なる高さ・タイミングで投げ空中で縦一列に並べる難易度の高い技。実は、謙介さんはこの技である記録を持っています。
小緑謙介さん:
「(ボールが)9個になると『HFDB97531』って技になるんですけど、9個でこの技を初めて成功させた人になった。(日本で?)世界で」
9個のボールを使った超高難度の技を世界で初めて成功させたのです。
小緑謙介さん:
「夢のような技だったので、この系統をよく練習していたので、ここまでこられて良かったと。(ボール何個まで増やせる?)最大は11個なんですけど、11個は数が多すぎるので、右手で5個、左手で5個、最後1個を足からスタートする」
11個のカスケードに挑戦―。
小緑謙介さん:
「惜しい、あと1個。」
ボール11個は12歳の時に成功させていて、「世界最年少記録」となっています。
挑戦すること30回―。
小緑謙介さん:
「よっしゃ!できた。成功させたときはめちゃくちゃうれしいですね」
■「成功した喜び」が原動力
ボールにさわっているのが当たり前の毎日。何度も失敗を重ね、ようやくできたときの達成感が、ジャグリングに没頭する原動力になってます。
小緑謙介さん:
「初めての技とか、すごく難しい技に挑戦してる時すごくワクワクする。あの技があとちょっとでできそうだとか、あと1個で成功だったのにみたいな。成功したときの喜びを追い求めている」
両親は―。
父・直樹さん:
「楽しんでやってるので、練習も結構失敗が続くスポーツではあるけど、そこも含めて楽しんで、本人なりに工夫してやっているので、親として見ていてうれしい」
母・朱さん:
「決めたことはやり切る。目の前のこととか、課題にぶつかっても、より良くしようとか、より楽しくしようみたいな気持ちがあるので、工夫して楽しみながらどんどん上達していってる」
■技よりトークに緊張?初舞台
4月5日―。
小緑謙介さん:
「慣れないことなので緊張しています」
競技として大会に出場したことはありましたが、大道芸の舞台に立つのは、この日が初めてです。
小緑謙介さん:
「お客さんを前に話すのも初めてに近いので、準備はしてきたんですが、ジャグリングの技よりそっちの緊張の方が強い」
迎えた本番―。
小緑謙介さん:
「僕は『こみけん』と言って長野県に住んでいる新中学3年のジャグラーです」
曲に合わせ次々に技を決めていきます。
■「中学生で社会人顔負け」
小緑謙介さん:
「一番最後に、2025年の競技ジャグリングの日本大会で2位になった演技をアレンジして演技します」
小緑謙介さん:
「9個です、最後!」
9個のカスケードを1発成功!
観客は―。
上田市内から来た人:
「中学生?すばらしかった。とてもエネルギッシュで楽しかったです」
松本から来た人:
「音楽に合わせてやっているところが見ているこっちも楽しんで見られたので、曲に合わせてポーズをとったりボールをキャッチしたり、演技がすごく良かった」
プロパフォーマー・TIMEさん:
「一番は見ていて安心できるくらいの安定感がある。自分も見ていて驚きで、中学生で社会人顔負け、社会人よりうまいレベルを出しているので、これからが楽しみな存在です」
■「人のために」新たな楽しさ
この日のステージは2回。ミスもありましたが、何とかやり遂げました。
小緑謙介さん:
「(出来は何点?)75(点)くらい。1回目は会心の出来に近かった。決めたい技、全部決めて、90とか100点くらい。2回目の一番最後の演目でミスが重なってしまったから減点して。こんなに多くの人が立ち止まって見てくれるうれしさがあった。見せる側の面白さ、大道芸の別の面白さを知れた」
「人に見せる楽しさ」という新たな魅力に気付いた謙介さん。まだ中学3年生。ジャグリングを究める道はこれからも続きます。
小緑謙介さん:
「今まで競技ジャグリングもそうだけど、自分のためにやっていた側面が大きかった。大道芸で人のために、お客さんのために練習をして場をつくっていくのはいい経験で、今後もそういう場を持てたら」