多くの有名人も発症を公表している「突発性難聴」。
歌手・浜崎あゆみさんやタレント・俳優の安西ひろこさん等、「もう聴力は回復しない」旨を医師から告げられた人もいます。治療を施しても治らない疾患なんでしょうか?
実は、「突発性難聴」は治療を始めるタイミングが極めて重要な疾患として知られています。
「心に ず〜んときます」
去年12月に「突発性難聴」と診断されたことを明らかにしていた、タレント・俳優の安西ひろこさんがSNSを更新。
医師から、「突発性難聴になってから4ヶ月が経っているので 聴力は固定されていると思うので治る事は厳しいです!治療は終わりです!」と告げられたことを、先日明かしました。
安西さんは、「目の前で言われると 心に ず〜んときますね!」と心情をつづっています。

Mrs. GREEN APPLEのボーカル・大森元貴さんや歌手の浜崎あゆみさん、堂本剛さんら多くの有名人も発症を公表した「突発性難聴」。
2000年6月に左耳に突発性内耳障害を発症した浜崎さんは、2008年1月にファンクラブ向け会報紙で「左耳はもう完全に機能しておらず、治療の術はないと診断された」ことを明らかにしました。
「正直、病院で先生から治すすべはない、手遅れだって言われた時は頭の中が真っ白になった」と、安西さん同様、受けたショックの大きさを吐露しています。
今回、大津耳鼻咽喉科・ボイスクリニック院長の大津和弥医師の監修のもと、突発性難聴の治療で注意することなどをまとめました。
何の前触れなく、突然に、年齢問わず発症
突発性難聴は、明らかな原因も前触れもなく、ある日突然、片方の耳(両耳は極めてまれ)の聞こえが急激に悪くなる原因不明の疾患です。
朝、テレビをつけたら音が聞こえにくい、電話の音が急に聞こえなくなるといった症状が、何の前触れなく、突然起こります。

近くの音は聞こえにくいのに、遠くの音が大きく響いたり、硬いものが床に落ちた音などは耳をつんざくように響いたり、非常に辛い症状が出ることもあります。
同時に耳鳴りや目まい、耳が詰まった感覚(耳閉感)を併発することもあります。

有名ミュージシャンが罹患したニュースを目にすることがあるかと思いますが、だからと言って、大きな音を聴くことが直接の原因ではありません。
内耳の異常で発症していることはわかっていますが、原因や発症のメカニズムははっきりとわかっていません。
原因が不明なので、「突発性」であり、原因が明らかなものは突発性難聴とは言いません。
突発性難聴は年齢を問わず、若い人であっても発症します。また、治療が難しい疾患でもあり、完治する治療法は確立されていません。
治療の“ゴールデンタイム”
安西さんは「4ヶ月が経っているので 聴力は固定されている」と医師に言われたと記していますが、突発性難聴は、早期に適切な治療を開始することが極めて重要な疾患です。
突発性難聴には、治療の“ゴールデンタイム”があるのです。それを逃すと、症状の改善は極めて難しくなります。
その“ゴールデンタイム”は発症から7日以内、遅くても2週間。
もちろん治療開始は早ければ早いほど良いのは確実です。
記事監修の大津医師は、早期治療の重要性について「個人的には数日以内に開始の方がいいのでは」と語っています。
発症から2週間以上経つと、改善の可能性が低下します。症状が固定されると、聴力の回復・改善は極めて困難になります。
発症から治療開始までの時間・日数が、治療の明暗を分けるのです。
音を感知する感覚細胞は生まれた時から数が決まっており、一度その機能を失うと再生しないからです。
症状としては、ほとんど聞こえなくなるケースもあれば、低音や高音だけが聞こえなくなるケースもあります。後者の場合、日常会話に必要な音は聞こえるため、難聴に気づくのが遅れるケースが少なくありません。また、「そのうち治るかもしれない」「仕事で忙しい」と受診を先延ばしにする人も残念ながらいます。
そうしている間に、“ゴールデンタイム”が過ぎ去り、聴力を失う可能性があるのです。
確率は「完治する」約1/3 、「全く回復しない」約1/3
突発性難聴の治療に関してはエビデンスのある治療法はまだ確立されていませんが、基本的には副腎皮質ステロイドの投与が基本となります。ステロイドには内耳の炎症・浮腫を抑え、血流を改善し、音を感知する細胞を保護する効果が期待されます。
投与方法は点滴もしくは内服に加え、施設によっては鼓室内ステロイド投与を行っているところもあります。

また、施設によっては高圧酸素療法を行っているところもあります。これはカプセル状の装置に入り、高濃度酸素を吸入して、内耳の低酸素状態の改善を試みる治療で、ステロイド投与で改善しない場合などに行います。ただ、高圧酸素療法は行える施設は限られています。
入院治療を行う場合は、ストレスの回避や安静も目的となります。
ただし、治療を行っても後遺症なく完治する確率は約1/3とされています。
発症時よりは改善するが元には戻らない確率が約1/3。全く回復しない確率が約1/3と言われています。
つまり、治療をすれば、必ず治癒・改善する疾患ではないということになります。

しかし、それでも早期に治療開始したほうがいいことに変わりはありません。
耳鳴りや難聴、大きな音が響いて聴こえるといった症状が後遺症として残ると、生活面でも悪影響が出てしまいます。
聞こえ方など、少しでも耳に異変を感じたら、迅速に、出来るなら48時間以内に耳鼻咽喉科を受診しましょう。

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