熊本地震の発生直後に県内各地の被災地で取材に当たった『めざましテレビ』の伊藤 利尋キャスターが4月12日、再び熊本に入りました。

伊藤キャスターは地震の約1カ月後に出会った益城町の被災者の元を訪れました。

【伊藤キャスター】
「佐々木さん、ここですね」
「こんにちは。伊藤です」

【佐々木 君代さん(94)】
佐々木さん
「いつも年賀状ありがとう」
伊藤さん「お元気そうで」
佐々木さん「いつもテレビで(見ています)」

4月12日、伊藤キャスターを元気に出迎えてくれたのは益城町に住む佐々木君代さん94歳です。

【2016年4月14日午後9時26分】
2016年4月14日、『震度7』を観測した益城町では多くの建物が倒壊。

10年前、倒壊した自宅の2階から自力で脱出した佐々木君代さん。

近所では多くの住民が亡くなりました。

【佐々木 君代さん(当時84)】
「私が死ぬとよかった」

【伊藤キャスター】
「大きな揺れです。私の後ろのビルも揺れているのが分かります」

佐々木さんは、一度は近くの避難所の体育館に身を寄せますが…

【佐々木さん】
「ここに永住しようと思って」
「でも避難所生活よりいいです」
「あそこは家族はグループ。(私は)常に1人」
「ご飯を取りに行くのも1人。それがつらかったから今は楽です」
「そのうち希望が出てきます」

廃材などを使って自宅の前にテントを建てて暮らし始めた佐々木さん。

【佐々木さん】
「泣けばどうなるんです?笑ってないと仕方ないし」
「私は私を全うしたいんです」
「できる限りやってみる。生きた証し」

その後、ボランティア団体が用意したトレーラーハウスへと移りますが、仮設住宅に入居したのは地震発生からおよそ4カ月後。

念願の新居が完成したのは地震から1年後のことでした。

【佐々木さん】
「どこの豪邸でしょう?あれ」
【伊藤さん】
「よくぞここまで1年できましたね」
「老婆にしては、やりすぎ」

あれから10年。94歳になった佐々木さん。

伊藤キャスターとは9年ぶりの再会です。

【佐々木さん】
「いつも年賀状ありがとう」
「いつもテレビで(見ています)」
「貪欲に生きています」
「(10年で)私も変わりました。元気がなくなって、耳が遠くなって、足が不自由。口だけ達者」

【伊藤さん】
「(9年前)ここがもうすぐできますよというときに取材させてもらいました」
【佐々木さん】
「息がくさいでしょ?スルメ食べたから」

場を和ませてくれる軽妙な語り口はあのころと変わりません。

「この10年間、何が一番大変だったですか?」
「自分を保つことですね。やっぱり。うらやんだり、何にもない中から立ち上がるのは悲しかった」
「みなさん、いたわってくれますから〈甘えちゃいかん〉と思いながら踏ん張っています」

84歳で、地震によって全てを失いながらも自宅を立て直し、力強く暮らす佐々木さん。

【佐々木さん】
「全てに貪欲です。自然に対して。物じゃなくて自然に対して。物じゃなくて生きることに貪欲です」
「四季折々の花、いろんな物への愛着。若いときはなんでもなかったけれど」
「私を全うするために、今も貪欲に自然を貪欲に眺めながら」
「あと5年後にお会いできたらいいけど、もう無理でしょうね」
「生きていたら来てください」

テレビ熊本
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