スマホでオンライン投票できる時代はくるのか?東京都議会で議論が進んでいる。

2025年6月に実施された都議会議員選挙について、東京都選挙管理員会が選挙に対する都民の意識、投票行動などについて、都民4000人を対象に世論調査を行い、3月に調査結果を公表した。

政治が自分の生活にどの程度関係があると思うか聞いたところ、「関係がある」、「やや関係がある」を合わせた「関係がある」は都の政治(85.4%)、国の政治(83.3%)区市町村の政治(81.3%)と、8割を超え、「都の政治」との回答が最も高かった。

投票への意識に関しては、「必ず投票するべき」(47.4%)、「可能な限り投票するべき」(40.1%)を合わせた「投票するべき」は87.5%で9割弱だった。

一方、2025年6月の東京都議会議員選挙の投票への参加状況では、「投票日に投票した」(49.0%)、「期日前投票をした」(29.8%)を合わせた「投票した」は、78.8% 8割弱と1割程度下がる。

「投票しなかった」と回答した有権者に、棄権した理由を聞いたところ、「適当な候補者がいなかったから」(27.3%)が3割弱と最も高くなっている。次に「候補者の人柄や政策がわからなかったから」(22.8%)、3番目に多かったのが「仕事が忙しく、時間がなかったから」(20.6%)であった。

家賃が高い東京では、仕事が忙しく、時間がない人はさぞ多いことだろう。2026年3月に都選管が発表した東京の有権者数は、約1157万人。少しのパーセンテージの増減でも影響する人数は少なくはない。

そうしたなか、有権者に1人でも多く選挙に参加してもらえるよう、スマホなどによるオンライン投票ができないか、東京都議会で議論が行われている。

法整備、本人確認など課題

2025年3月17日の東京都議会総務委員会で、早坂義弘議員が、都の選挙管理委員会事務局長に対して質問した。

(都議会総務委員会速記録より)
早坂議員
「さて、都民、国民の期待が大きいオンライン投票、ネット投票について伺います。国における検討状況や導入に向けた課題について伺います」

川上選挙管理委員会事務局長
「公職選挙法におきまして、選挙人は原則として、自ら投票所に行き、投票用紙に自書し、投票管理者及び投票立会人の面前で投票を行うことが求められてございます。インターネット投票を導入するためには立法措置が必要でございます。
インターネット投票の導入に向けた課題としては、本人確認の確実な実施、投票の秘密の確保、セキュリティやシステムダウン対策、事後的な投票内容の検証、その他、候補者間の公平性が担保された画面表示などが挙げられてございます。
現在、国においては、まずは在外選挙への導入に向けた検討が行われており、都選管としては、国に対して十分な情報提供を求めているところでございます」

事務局長の答弁によると、オンライン投票の実施には、国による法整備が必要なほか、本人確認の方法、投票の秘密の確保をどうするかなどが課題として挙げられている。

投票の秘密の確保とは、有権者が誰の影響を受けることなく自由な投票行動ができるようにすることであり、現在日本では、投票所において本人確認を行った後、投票立会人のもとで投票を行い、だれからの影響をうけることなく自由に投票でき、投票先の秘密も保持されている。

それがもしスマホで投票できるようになった場合には、投票立会人がいないので有権者が誰かに圧力をかけられたり、買収されたりして、投票の自由が侵される可能性がでてくるという懸念がある。

エストニアの例

一方で、オンライン投票が実施されている国もある。バルト3国の1つ、エストニアだ。エストニアではどのように投票の自由が担保されているのか。

エストニアの選挙管理委員会のHPによると、「電子投票は、投票所のような管理された環境で行われるものではありません。有権者が自由に投票できなかった場合、期日前投票期間中に再度オンラインで投票するか、期日前投票期間中に投票所で投票することで、電子投票を変更できます。その場合、最後に行われた電子投票、または投票所で行われた投票が有効となります」と書かれている。

都議会でオンライン投票の導入に関して質問をした早坂議員は、エストニア方式で投票の自由を確保したうえで、地方選挙でのオンライン投票の実施を目指している。

「オンラインである以上、システムエラーはもちろん、ハッカーに襲われ、選挙自体の妨害や投票結果の改ざんが行われる可能性はどうしても残ります。その内容いかんによっては、我が国の安全保障に極めて甚大な影響を及ぼす可能性も否定できません。そう考えると、オンライン投票を行うならば、それは地方選挙に限定されるべきものであります。都民、国民の期待が大きいオンライン投票、ネット投票に対して、これらの課題を認識しながら、導入に向けて、東京都議会の立場でこれからも議論を深めてまいりたい」(早坂議員)

忙しい人でも投票できる「オンライン投票」。エストニアのHPによれば、オンライン投票を行った有権者は次の選挙にも投票する可能性が高いという結果が出ているという。
(フジテレビ社会部 大塚隆広)

大塚隆広
大塚隆広

フジテレビ報道局社会部
1995年フジテレビ入社。カメラマン、社会部記者として都庁を2年、国土交通省を計8年間担当。ベルリン支局長、国際取材部デスクなどを歴任。
ドキュメントシリーズ『環境クライシス』を企画・プロデュースも継続。第1弾の2017年「環境クライシス〜沈みゆく大陸の環境難民〜」は同年のCOP23(ドイツ・ボン)で上映。2022年には「第64次 南極地域観測隊」に同行し南極大陸に132日間滞在し取材を行う。