原油輸送の要であるホルムズ海峡の封鎖など緊迫化する中東情勢。さらなる物価高騰に対し不安が広がる中、和牛の産地、津山市の生産者にも影響が出ています。地域が育んできた食文化は、どうなるのでしょうか。
赤身と霜降りのバランスが良い「つやま和牛」。津山地域で生まれ育ち、5段階で示す肉質の等級は3以上を条件としていて、消費者から高い評価を得ています。そんな和牛の生産に暗雲が漂っています。
(つやま和牛振興協議会 生産者部会 大※さこ毅部会長)
「(1キロ)40円が70円になった」
津山市の生産者大さこ毅さん79歳。2014年の「つやま和牛」のブランド立ち上げから携わってきましたが、餌の価格が物価高騰前のおととしと比べて2倍近くに上がったと困惑の表情を浮かべます。
(つやま和牛振興協議会 生産者部会 大さこ毅部会長)
「常識の範囲を逸脱していて全く読めない。今まで経験したことのないことが起きている」
古くから労働力としてウシの飼育を続けてきた津山地域。江戸時代にはすでに牛肉を食べていたという文献もあります。昭和に入り食肉用のウシの生産が盛んになり、牛肉が食文化として定着しました。その食文化を支える生産者を苦しめているのが、この数年で急激に高騰する物価です。
餌の飼料のほか、設備の燃料費が影響を受けています。さらに2026年2月に始まったアメリカとイスラエルのイラン攻撃に伴って事態は悪化。原油輸送の要であるホルムズ海峡の封鎖などで物価がどうなるか全く読めない状況です。
(つやま和牛振興協議会 生産者部会 大さこ毅部会長)
「現状より先行きが見通せない不安が大きい。これから餌も油も止まってしまうのだろうか。それとも好転するのか。先が見えないのが不安」
大さこさんは、海外の飼料の一部を地元産の飼料にするなど増大するコストの削減に取り組んでいます。ただ、削減幅に限界があり価格転嫁も難しいことから一部を自ら負担しています。
(つやま和牛振興協議会 生産者部会 大さこ毅部会長)
「不安はあるけどもっと先を見据えて世界の中で『つやま和牛』のブランドの確立を目指して頑張りたいと思う。公的機関に(支援を)お願いするのもあるが自分で自助努力をしながら時代の波の中で生きていく方策を探さないといけないと思う」
そうした中、4月15日、津山市の光井聡市長が会見を開きました。
(津山市 光井聡市長)
「生産者の皆さんが稼げるよう畜産業が発展することをしっかり支援したい」
こう述べて生産者に対する支援を表明しました。光井市長が特に懸念しているのが牛肉の価格高騰に伴う消費者の買い控えです。5月には津山地域の牛肉料理を味わうグルメイベント「牛魔王選手権」が予定されますが、ここで消費者の理解を得て産地を守りたいとしました。
(津山市 光井聡市長)
「牛魔王選手権の開催などを通じてたくさんの人に牛肉の聖地津山の文化を味わってもらいつやま和牛のブランドをしっかりPRしていきたい」
先が読めなない中東情勢。地域の食文化への影響がじわりと広がっています。
※さこの漢字は土へんに谷