「就職活動で何を重視しますか?」と問われた時、どんな答えを想定するだろうか。

今、沖縄の若者たちの答えはとても多様になってきている。給料、福利厚生、キャリアプラン、職場の人間関係、そして「サウナに週一で行ける休み」まで。働くことの意味が、静かに確実に塗り替えられてきている。

 企業選びの基準は十人十色

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「1番は給料で、次が福利厚生、家賃補助とか」(ホテル業)

「海外で働きたいという想いがあるので、自分はキャリアプランが実現されるかで選びました」(メーカー営業)

「土日働いても振替休日取れるので、最近週1でサウナに行ったりとか」(法律関係)

「社員同士の仲がいいところがいいのかな」(保険代理店)

いずれも20~30代の働く若年層に「企業選びで重視したことは?」と尋ねた際の返答だ。

一世代前には「安定した収入」が就職の絶対条件のように語られていた。しかし今の若者にとって、働くことはもはや生活の手段だけではない。

自分の人生をどう生きるか、という問いへの答えを、就職先に重ねて探している。

バースデー休暇、バカンス休暇…社員の「未来に繋げられる時間」を

カット野菜の製造販売を手がける「グリーンフィールド沖縄」に今年入社したばかりの新入社員・島袋夢菜さんは会社を選んだ決め手のひとつに「バースデー休暇」を挙げた。

「自分だけの一日を持てることが、仕事へのモチベーションにもつながる」と彼女は話す。

さらに同社が設けているのが、長期休暇だ。

外国人社員を積極的に受け入れる中で生まれた制度で、ネパール出身のビショカルマ・アスミタクマリさんは、この休暇を使って約45日間帰国し、故郷で家族や知人と結婚式を挙げた。

名称を「バカンス休暇」と呼ぶのは、「取得を積極的に促す」という意思の表れでもある。大城千賀子常務取締役は休暇制度について以下のように説明する。

「企業への就職は人生最後の学びの場として考えていますので、困難なことも難しいことも含めて、本人の未来に繋げられるような時間にしてほしい」

若手に裁量を与えることも、同社の特徴だ。

営業の売上目標を一任されている7年目の大田守峻係長は「意見を最善の方向に導く能力は、この会社で最も大きく得たものなんです」と振り返る。休暇と挑戦、両方をそろえることが、社員の定着と成長を同時に実現させている。

社員は企業の「財産」 経営意識の変革

ビルメンテナンスや人材派遣などを手がける「クリード沖縄」は、育児休業中の社員の自宅に紙おむつを届けている。だが、玉城芳信会長は「その本当の目的は、モノを渡すことではない」と話す。

「おむつを渡しながら面と向かって対話をする。何か不安はないですかと言って、子育ての不安を聞いてあげる。おむつ定期じゃないです、安心定期便なんですね実は」

育休中の仲与志綾音さんは、育児は想像以上に大変だと言う。

そんな中で会社に気にかけてもらえることが、安心して育児に向き合える支えになり、職場復帰への意欲にもつながるという。

総務部の中村知恵美さんは「社員を『いち人材』ではなく、企業の『財産』として捉えています」と語る。社員一人ひとりのライフステージに寄り添い、孤立させないことを大切にするという姿勢が、こうした地道な取り組みの根底にある。

AI全盛の時代、売り手市場で問われる「人間としての力」

就職支援を行うマイナビ沖縄の平良拓郎部長は、今の学生の傾向をこう分析する。

「自分の人生を大切にできる会社で働きたいという意識が、以前よりはるかに強くなっています。沖縄県内の企業は都市圏と初任給の差で競うことが難しい現状がありますが、休日の増加や福利厚生の充実など、待遇面での企業努力が確実に広がっている状況です」

採用戦略もまた、変化の途上にある。

AIの活用が経済成長の鍵を握ると言われる今、AIには代替できない素直さや誠実さ、熱意、そしてコミュニケーション能力といった対人スキルの価値が、むしろ高まっているというのが平良部長の見立てだ。

売り手市場であっても、問われているのは学生の「人間としての力」だということになる。

企業と人が「価値観を共有できるか」

給料、休暇、人間関係、挑戦の機会、家族への配慮…若者たちが企業に求める条件は、もはや一律ではない。
だからこそ企業側も、画一的な待遇ではなく、一人ひとりの人生に寄り添う仕組みを模索し始めている。

こうした現状を踏まえて見えてくるのは、「選ばれる企業」とは「働きやすい企業」であるということだと言えないだろうか。

働きやすい環境づくりに取り組むことで、多くの人材が集まると同時に、企業の価値向上と成長にもつながる可能性もありそうだ。

沖縄テレビ

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