一枚の写真から街を再発見する「兵動大樹の今昔さんぽ」。

今回の舞台は、奈良県明日香村・近鉄飛鳥駅前です。

【兵動大樹さん】「飛鳥時代があったなというのは頭の中にあるので、都が広がっていたと」

風光明媚な明日香村は、現在「飛鳥・藤原の宮都」として世界遺産登録を目指している注目のエリアです。

今回受け取った1枚の古い写真は、一本道を大勢の人々がどこかに向かって歩いている風景が写っています。撮影は1978年(昭和53年)。

写真に写る男性の雰囲気から年代をピタリと的中させた兵動さんですが、場所についてはさっぱりです。

【兵動大樹さん】「何の写真かが全くわからへん」

写真の風景は見つかるのでしょうか?

■古墳が“ちまちま”明日香村

早速聞き込み開始です!

出会ったのは、きょうだいで散歩に来ていた19歳と22歳の若者たち。

京都の大学に通う弟がわざわざ泊まりに来て、一緒に明日香村を歩いているというほほえましいエピソードに、兵動さんもにっこりです。

写真の場所は分からなかったものの、「結構、古墳とかちまちまありますね」というヒントを得ました。

【兵動大樹さん】「ちまちまあるという言い方がおもしろい」


■高松塚古墳の発見がきっかけで「飛鳥ブーム」に

駅前で見つけたのは、コーヒーの良い香りが漂う創業から49年の喫茶店。

店主に写真を見せると、「ちょうどその頃、高松塚古墳が発見されたすぐぐらいかな」という証言が飛び出しました。

高松塚古墳の発見をきっかけに「飛鳥ブーム」が起こり、説明会のたびに大勢の人が押し寄せました。

昭和50年代のピーク時には年間約180万人が明日香村を訪れたのだそうです。

さらに、地元で育った店主ならではのエピソードも。

古墳が身近な遊び場だったといい、岩屋山古墳の中に入ったり、石舞台の上に腰掛けてご飯を食べたりしていたそうです。

【兵動大樹さん】「だから別に『うわ古墳や』とはならへんねんな」

古墳が日常の風景に溶け込んでいる明日香村ならではの感覚です。

■石舞台古墳は「ステージ」じゃなかった!

喫茶店の店主に勧められ、まずは石舞台古墳へ。

兵動さんは以前明日香村を訪れたことはあるものの、石舞台を見たことはなかったそうです。

受付スタッフに「石舞台ってなんなんですか」と尋ねると、返ってきたのは意外な答え。

【受付スタッフ】「お墓なんです。蘇我馬子のお墓と言われてます」

【兵動大樹さん】「舞台ちゃうの!?」

元々は土で覆われた方墳でしたが、長い年月のうちに土が流れて巨大な石室がむき出しになったのだとか。

江戸時代にはすでに石室が露出していたそうです。

【兵動大樹さん】「ここが土やったんや。めちゃくちゃ大きいで!」

■“まるこやま古墳”とは?

写真の手がかりを求めて高松塚古墳方面へ歩いていると、いちご狩りの農園を発見。

ここで出会った「師匠」と呼ばれるいちご農家さんから、奈良県の品種「あすかルビー」をいただきます。

【兵動大樹さん】「噛んだ瞬間の果汁の多さでびっくりしますね。食べ終わってからほのかに酸味がひゅっと上がってくるから、また食べたくなる」

写真について聞いてみると、「この近辺にはないですわ。発掘調査してはったんかな、“まるこやま古墳”の」と、違う角度の答えが。

謎は深まるばかりです。

■「アンノン族」がこぞって訪れた

農園から約300メートル歩くと、高松塚古墳に到着。

資料館では、学芸員から詳しい話を聞くことができました。

1972年(昭和47年)の発掘調査で石室の中に極彩色の壁画「女子群像」が見つかり、日本初の壁画古墳として大ニュースに。

女性ファッション雑誌『anan』や『non-no』のブームとも重なり、いわゆる「アンノン族」と呼ばれる人々が明日香村を訪れたのです。

現在、壁画の実物はカビの問題で取り出され別施設で保管中ですが、壁画館では日本画家が精密に描いた模写を間近で見ることができます。石の質感や汚れまで忠実に再現されたその技術は圧巻です。

■写真の正体は「マルコ山古墳」だった!

学芸員によると、高松塚古墳の発見後、飛鳥地域で他に壁画古墳がないか徹底的に調査が行われたそうです。

その中で注目されたのが、高松塚古墳と形が似た円墳「マルコ山古墳」。

写真が撮影された昭和53年は高松塚発掘の6年後にあたり、マルコ山古墳の発掘調査が行われていた時期と重なります。

実際にマルコ山古墳を訪れると、写真に写っていた三角屋根の建物が今も残っていることが判明!

地元の方も「発掘した当時は、テレビ・新聞とかみんなこのへん泊まった」と証言してくれました。

昭和53年の写真に写っていた大勢の人々は、「第2の高松塚古墳」を期待してマルコ山古墳の発掘調査に押し寄せた見学者だったのです。

残念ながら高松塚古墳のような壁画の大発見には至りませんでしたが、当時の飛鳥ブームの熱狂ぶりがよく分かる1枚でした。

■古代ロマンに美味しいいちご

最後に兵動さんが一言。

【兵動大樹さん】「1つ言うときます。石舞台はステージではございません。お墓でございます。これが1番の勉強なったわほんまに。恥ずかしい」

高松塚古墳の壁画発見に始まる飛鳥ブーム、身近に古墳がある暮らし、そしてあすかルビーの甘さ。

古代ロマンと美味しいいちごが詰まった明日香村、レンタサイクルで巡ってみてはいかがでしょうか。

(関西テレビ「newsランナー 兵動大樹の今昔さんぽ」2026年4月3日放送)

関西テレビ
関西テレビ

滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山・徳島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。