松江の風景を描いた巨大アートが温泉複合施設に

島根・松江市の新たな温泉複合施設に、地元らしさが詰まった巨大絵画が誕生しようとしている。
宍道湖を描いたその作品に使われているのは、なんと宍道湖特産の“シジミ”の殻から作った絵の具。しかもそのアイデアの源は、地元の高校生2人だった。

宍道湖の象徴をそのまま画材に

2026年5月上旬のオープンを目指して建設が進む、松江市天神町商店街の複合施設「天然温泉・湯屋天神」。
その休憩スペースに飾られる大型絵画の制作が進んでいる。

手がけるのは現代アート作家の會津格さんだ。
キャンバスの大きさは縦2.5メートル、横4.5メートル。

テーマは『宍道湖』で、春夏秋冬の季節の移ろいと、朝から日没までの時間の経過を1枚の絵に凝縮している。
見る角度によって色が変わる8色の絵の具を駆使することで、光と時間の表情を一枚の大画面に封じ込めた。

そして、この作品を特別なものにしているもう一つのこだわりが、画材そのものだ。「この作品はシジミの殻が全てです。この一番上の銀色のところが山陰の空を表していて。これはシジミの殻100パーセント。色とシジミの粒」と會津さんは言い切る。

宍道湖の象徴でもあるシジミの殻が、そのまま絵の具として作品に息づいている。

現代アート作家・會津格さん
現代アート作家・會津格さん
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アーティストの心を動かした…地域課題に挑んだ高校生の研究

このシジミの殻を使った絵の具というアイデアは、會津さんが独自に思いついたわけではない。
きっかけは、地元の若い2人との出会いだった。

この春、松江北高校を卒業した松林瑠那さんと伊達妃陽さん。
2人は高校1年生のとき、地域課題の解決に挑む高校生支援プロジェクト『みらチャレ』の資金を活用し、シジミの殻から絵の具を開発していた。

「ちょうど1年前に、高校生の2人にこのシジミの殻を使って絵の具を作ったという話を聞いて、実際プレゼンしてもらって、僕すごく感動したんですね」「それを僕なりに解釈して最大限に生かそうとして、今回これになってます」と會津さんは振り返る。

高校生の研究が、プロのアーティストの制作を動かした。
そのつながりが、この絵画にまた一つ深みを与えている。

「みらチャレ」でシジミの殻を使った絵の具開発・松林さんと伊達さん
「みらチャレ」でシジミの殻を使った絵の具開発・松林さんと伊達さん

“くつろぎの時間”に寄り添う  

完成に近づく作品を前に、松林さんは「躍動感というか立体的になってすてきだなと思います」と笑顔を見せた。
伊達さんも「この絵を見てもらうことをきっかけに、その松江の魅力であったり、シジミとか松江の特産物の可能性について知ってもらえるきっかけになればいいな」と期待を込める。

宍道湖の風景、シジミの殻、高校生の挑戦、そして現代アート。
松江という土地のさまざまな要素が一枚の大きなキャンバスに重なり合う。

「天然温泉・湯屋天神」の休憩スペースで、温泉の後に座ってこの絵をゆっくり眺めるとき、見る角度によって色が変わる宍道湖の姿が、訪れた人それぞれに違う表情を見せてくれるはずだ。

巨大絵画を制作する會津格さんたち
巨大絵画を制作する會津格さんたち
TSKさんいん中央テレビ
TSKさんいん中央テレビ

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