大事な家族の一員であるペットを災害からどう守るか、10年前に起きた熊本地震の当時の課題を基に考えます。

当時は断られた避難所へのペット避難

10年前の熊本地震が起きたあの日、ペットと一緒暮らす人たちはどのように、避難したのか。

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自宅に残った人(嘉島町在住)は「この子のお母さん、余震が多くて私にベッタリくっついて、離れなかった。(公民館に)『ペットとの避難はダメか』と聞いたら『お断りします』と言われた」と話しました。

車中泊した人(南阿蘇村在住)は「3~4匹は飼っていたと思う。犬舎が外にあって、離れたくなかった」と話し、車中泊した人(益城町在住)も「4月いっぱいはイヌと一緒に車中泊で避難していた。なかなかペット連れでは避難できるような場所もなかった」と話します。

2016年4月に発生した熊本地震では、国内での観測史上初めてとなる2度の『震度7』の揺れに見舞われ、断水や停電などが発生。日常が奪われ、不安な思いで過ごしたのは私たち人間だけではありませんでした。

熊本市動物愛護センターの職員は当時のTKUの取材に「迷子犬、警察に届けられるワンちゃん、『ウロウロしているので早く捕まえて』という電話。土・日返上で迷子犬に対応している」と話していました。

2499匹の迷子のうち戻ったのは411匹

環境省のまとめによりますと、地震発生後、熊本県と熊本市はイヌ・ネコ合わせて2499匹を保護収容。特に県の施設は、逼迫した状態でした。

当時、県職員として対応に当たった熊本県獣医師会の江川佳理子常務理事兼事務局長は「県内全域が災害救助法適用地域に指定されたからとにかく、そこにいるイヌやネコを『被災動物』として保護するのが当時の方針だった。全て飼い主からはぐれたペットなのかが不明」と振り返ります。

飼い主の元に返せたのは、411匹で、このほかは譲渡するなどされました。そもそも保護されたイヌやネコが野生なのかペットなのかが判然としない状況。飼い主の情報につながる迷子札などを付けていたのが、全体のわずか15パーセントほどだったことも要因だったようです。

江川常務理事は「なかなか飼い主が見つからなかったのは、やむを得ず(飼い主が)地域を離れないといけなかったり、放浪に近い動物だったり(したから)。『被災ネコだから』と保護することが果たしていいのかどうか。全然知らない所に行ってしまえば帰れない状況をつくってしまう」と話します。

また、当時は避難所での受け入れ方針が定まっていない自治体も多く、受け入れをしていた動物病院への避難のほか、車中泊やテント生活での避難が多く見られました。江川常務理事は「ペットに大事なのは、エサと愛情と安全な生活環境空間」と話します。

『同行避難』とは、必ずしも避難所に行くことではなく、ペットとともに安全な場所まで避難すること。それぞれのメリット・デメリットを踏まえ、選択肢を考えておくことが重要です。避難所では他の人と過ごすことになるため、『クレート』と呼ばれる箱に入れても生活できるよう、日頃から訓練しておくことも有効だといいます。

ペットと避難する際に必要な備えは

こちらは、宇城市にある県動物愛護センター『アニマルフレンズ熊本』です。地震発生当時、東区にあったセンターが古く、多数の動物を快適に飼育するのが困難だったことから2024年3月に移転しました。

ここには、ペットの防災にまつわる展示があります。必要な備えはいくつかの段階に分けられていて、最も優先すべきなのは命や健康に関わるもの。腐りにくいドライフードや水、常備薬などが挙げられます。

熊本県動物愛護センター・アニマルフレンズ熊本の成富英規獣医師は「1日、動物の体重1キロ当たり、100ミリリットルを目安に最低7日分あれば良いが、まずは3~4日分から備えると良い」と話します。

次に優先して準備すべきは、飼い主とペットの情報が分かるものです。迷子になって保護されたペットが一日でも早く飼い主の元に戻るために、特に有効なのがマイクロチップです。

15桁の識別番号からデータベースに登録された飼い主の情報と照合できます。約4年前からはペットショップなどで購入するイヌやネコへの装着・登録が義務付けられています。また、日本獣医師会はそれ以前からペットへの装着・登録を推奨しています。

成富獣医師は「注射器で入れる。針を刺して押し込むことで、マイクロチップを入れることができる」と話し、直径1.4ミリ、長さ8ミリほどの小さなもので、抵抗を感じる飼い主もいるかもしれませんが、動物の体に大きな負担はないということです。

大事な家族の一員であるペットを守るためには、迷子にならないよう事前にできることや、家に住めなくなったときの対応などを日ごろから考えておくことが重要です。

熊本市ではペット同伴可能な避難所に

熊本市では、災害発生時にペット同伴可能な避難所として中央区にある水前寺競技場と九州動物学院があります。

市町村ごとにも開設される予定があるということですので、「もし避難所するなら、どこに行くのか」など様々なパターンを想定しておきましょう。

(テレビ熊本)

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