「快挙ですね。ぜひこれからも栄光の一位の座を死守していければ」——鳥取県の平井知事がそう胸を張った。
総務省の家計調査で、鳥取市が2025年1年間の1世帯あたりの「カレールウ」購入額・購入量でともに全国1位となったことが明らかになった。2018年以来、実に7年ぶりの"ダブル日本一"奪還だ。かつて「カレー王国」を名乗った鳥取県が、再びその王座に返り咲いた。
「おつカレー!」 祝賀イベントで沸く鳥取市
3月15日、鳥取市内で開かれた祝賀イベントには多くの市民が集まり、喜びに沸いた。平井知事は「きょうは“カレイなる”一日にしますよ。おつカレー!」と得意のダジャレで笑いを誘いながら首位奪還を祝った。
会場では、学校給食用のとうふちくわ入りオリジナルカレーが無料でふるまわれ、参加者からは「家族みんな好きでよく作ります」、「週に一回以上は食べてますかね」といった声が上がった。
このイベントでは、「カレールウ」に加え、「カレイ」の購入量・額でも全国1位となったことも同時に発表された。ダジャレ好きには堪らない、まさに"カレイ"な快挙だ。
「カレー王国」を支えてきた“研究所”とスーパー
王座奪還に最もひとしおの喜びを見せたのが、「鳥取カレー研究所」の池本百代社長だ。「久々の一位なので、やったーという感じですね」と笑顔を見せた。
池本さんは2005年、鳥取市がカレールウ購入量で全国1位となったことをきっかけに、2008年に「鳥取カレー研究所」を設立。二十世紀梨やラッキョウといった地元特産品を使った「カレーの素」や、炊飯器に入れるだけでカレーが完成する「カレーキット」など、オリジナル商品を次々と開発してきた。
ご当地戦隊を結成して「カレー王国」鳥取をPRするなど、長年にわたって地域のカレー文化を盛り上げてきた立役者だ。研究所オリジナルのスパイシーカレーを試食した記者も「本格的でおいしい」と太鼓判を押した。
一方、鳥取市内のスーパーマーケット「サンマート湖山店」も、20年以上前からカレー関連売り場を充実させてきた。現在はルーだけでも約80種類を取りそろえ、カレー王国の台所を支えてきた。同店の店長は「リニューアルしたときに特徴を出そうということで、カレーの消費が当時も高かったので、思い切って品ぞろえも鳥取1位を目指して」と振り返る。
カレー野菜が一度に揃うセット商品なども展開し、地道な「カレー推し」が今回の日本一奪還に貢献したかもしれない。「1位というのはやっぱりうれしいです。1位を死守できるように販売の仕方も工夫しながらやっていきたい」と意気込みを語った。
なぜ鳥取市はカレーをよく食べるのか
そもそも、なぜ鳥取市はカレールウの購入量が多いのか。はっきりした理由は分かっていないが、有力な説のひとつが「共働き世帯の多さ」だ。2020年の国勢調査によると、鳥取県の共働き世帯の割合は68.5%で、全国平均を約10ポイントも上回っている。忙しい日々の中でも手軽に調理でき、子どもたちの満足度も高いカレーライスは、食卓に上る機会が自然と多くなるというわけだ。
「久々の首位奪還」を米価高騰が後押し!?
では、なぜ2025年に7年ぶりの首位奪還が実現したのか。池本さんが注目したのは、近年の米価高騰の影響だ。「お米が高くなりましたよね。鳥取は割と兼業農家さんや米農家が多いので、お米にすごくお金をかけるっていうことはないのかなと」と話す。
同じ家計調査でコメの購入額を見ると、2023年から3年間の平均で鳥取市は全国最下位、購入量も49位と低水準だ。鳥取では米農家が身近にいて、高いコメをわざわざ買う必要のない家庭が多い一方、他の地域では価格高騰の影響でコメを大量消費するカレーを敬遠する動きがあったのではと推測される。結果として、鳥取市の「カレー消費」が相対的に浮かび上がったというわけだ。
たかがカレー…されどカレー「1位死守を」と意気込み新た
池本さんは言う。「やっぱり1位だと気持ちが入るので、みなさんももうちょっと頑張って食べていただいて、1位を死守して今まで通り何年か続けていけたらなと思う」。
たかがカレー、されどカレー。7年ぶりの王座奪還を機に、鳥取市民のカレー愛が再び燃え上がっている。「カレー王国」再建への歩みは、始まったばかりだ
(TSKさんいん中央テレビ)
