日々めまぐるしく変化している、イランを巡る情勢。
そんな中、トランプ大統領が提示した「5日間の攻撃延期」のタイムリミットを前に、アメリカの強襲揚陸艦「トリポリ」が、中東に到着するとみられています。

さらに、アメリカのワシントン・ポストは、トリポリの到着に合わせて、アメリカ最強部隊と名高い国防総省の陸軍「第82空挺師団」に中東への派遣命令が出されたと報じました。

一体、「第82空挺師団」とはどのような部隊なのか。「派遣命令」の持つ意味合いとは?『サン!シャイン』は、過去に第82空挺師団に所属していた人物を取材しました。
「第82空挺師団」投入の意味とは?元隊員「脅しの部分もある」
元アメリカ陸軍大尉で、1999年から2003年までの4年間、第82空挺師団に所属していた飯柴智亮さん。

アメリカの永住権を持っていれば第82空挺師団に入隊できたため、19歳で渡米し、陸軍所属と同時に志願したといいます。

元米陸軍大尉・元第82空挺師団所属
飯柴智亮氏:
82空挺(師団)というのは即応部隊といって、18時間で世界中どこにでも降りられるっていう。常にスタンバイしている部隊なんですね。
所属には落下傘降下(パラシュート降下)の資格が必要なんですけども、そのための空挺学校に行くのも選ばれた人しか行けないんです。自分のいた中隊は、訓練が始まった時360人ぐらいいたのが卒業したら200名ちょっと。だから、150人ぐらいが脱落しました。そういった、関門をくぐり抜けて選ばれた人間が所属できるのが82空挺師団ですね。

1917年、第1次世界大戦の時に創設された「第82空挺師団」。
一躍、その名が知られるようになったのは、1944年、第2次世界大戦でナチス・ドイツの敗北を決定付けた、連合国軍の「ノルマンディー上陸作戦」です。
この時、第82空挺師団に所属するパラシュート部隊がナチス・ドイツ占領下のフランス・ノルマンディーを空から強襲。空挺作戦が実戦で機能することを証明しました。

その後もベトナム戦争や湾岸戦争、イラク戦争など地上戦を行う際に派遣されてきた第82空挺師団。
水面下でのイランとの停戦交渉が報じられる中、この部隊を派遣するアメリカの狙いはどこにあるのでしょうか?

元第82空挺師団 飯柴智亮氏:
アメリカは制空権・制海権を完璧に保持してないと陸上戦力は出しません。なぜかというと、当然、損害が大きいからです。82空挺関係に限らず、陸戦力が出るって話になったってことは、イランの制空権・制海権がほぼないことを示していると思います。
それともう一つは、82空挺が出る時は「アメリカが本気になった時」。これは、自分がいた時に司令官から言われた言葉で、今でもよく覚えています。「我々が出る時はアメリカが本気になった時だ」と。
空と海でイランをたたいて、陸で降りてって最後締めるっていう。反米体制のイランを完璧に潰すために、82空挺が出てくるんだと思います。

さらに、飯柴氏は「第82空挺師団が動く」ということが報じられるだけでも意味があるといいます。
元第82空挺師団 飯柴智亮氏:
交渉、武力行使、交渉、武力行使。これをうまく混ぜて、あるいは82空挺を交渉材料に使っているって面もあると思います。「交渉決裂したら82空挺が出てくるよ」と、そういう感じで脅している部分もあるのだと。

実際に攻撃せずとも、“存在”そのものが圧力になるという「第82空挺師団」。
アメリカの政治事情に詳しい、キヤノングローバル戦略研究所上席研究員の峯村健司氏も、その存在はアメリカの“最後の切り札”だと話します。
峯村健司氏:
本当にこの部隊自体が、超がつく精鋭部隊なので、コレが出てくるということは相当アメリカ側の本気度を示すと、裏を返せばイランに対する最大限の“脅し”ですね。これまで、強襲揚陸艦を出したり海兵隊を出してもイランがなかなか折れてくれないので、最後の切り札を出して「いい加減降りてこい」という、いわば“最後通牒”だと思います。

――イランに対してここまでトランプ大統領がやる背景には何が?
元々、イランは親米に近い国だったのですが、革命によって一番の反米の国になってしまったと。さらに北朝鮮や中国とのつながりも強いと言う意味で、今の体制は許すまじというものが、トランプ氏以外のアメリカの人たちも根底にはありますね。それをまた「親米に戻したい」というのが目標なのだと思います。
(「サン!シャイン」 3月26日放送)
