イランに警告していた発電所の攻撃を5日間延期したトランプ大統領ですが、その理由に挙げたのが戦争終結に向けたイランとの協議です。

どんな協議が行われたのか。そして戦争は終結に向かうのか。
国際取材部の佐々木亮デスクと見ていきます。

まず、トランプ大統領はSNSでイランとの間でこの2日間協議が行われたことを明らかにし、“非常に良好で生産的な協議を行った”と強調しました。

さらに、「イランは本気。解決を望んでいる」「合意の可能性は極めて高い」との認識を示しているんですが、イラン側は「協議は存在しない」ということで、協議そのものを否定しています。

青井実キャスター:
双方に食い違いがありますが、実際に行われたんでしょうか。

佐々木亮デスク:
アメリカやイスラエル側の発信だけではなく、今回はイギリスの「フィナンシャル・タイムズ」や当事者であるパキスタンのメディアなどからも、パキスタンが仲介役を務めて実質的な進展があったと報道が出ています。従って、直接的な協議とはいかなくても、間接的な接触などは続いているのではないかとみられます。

青井実キャスター:
トランプ大統領が攻撃を延期を表明したあとに高騰していた原油が下落ということで、マーケットがトランプを止める唯一の手かなと思うくらいなんですけれども。

SPキャスター・山口真由さん:
確かにそういう要素はありますよね、関税でも。口先介入というか自信満々な態度は、まだ双方に隔たりがまだあるのかなと思ってしまいますけどね。

アメリカとイランとの協議ですが、トランプ大統領は中東担当特使のウィトコフ氏や娘婿のクシュナー氏がイラン側と接触したと説明しています。

イラン側の接触相手については、最高指導者ではなく最も尊敬される人物としていて、アメリカメディアによると、ウィトコフ特使らがイランの国会議長・ガリバフ氏と協議していると報じています。

青井実キャスター:
ガリバフ国会議長を“最も尊敬される人物”とトランプ氏が言っているわけですが、どういう人物なんでしょうか。

佐々木亮デスク:
“最も尊敬されている”という表現は、随分アメリカ側が気を使っている感じがしますが、それがガリバフ氏とみられています。ガリバフ氏は今、実権を握っている革命防衛隊の出身者です。
その後、政界に転身して、テヘラン市長などを経て現在は国会の議長を務めている人物です。ただ、保守の強硬派として知られており、さらに大統領選に何度も出馬したことがありますが、毎回落選しています。なので、国民の人気も高いとはいえない人物です。
それでも、革命防衛隊とのコネクションがあることや亡くなったハメネイ師との近さなどから、現状イランの内部をコントロールできる人物はこの人ではないか、というところでアメリカ側が白羽の矢を立て、交渉できる人物かをテストするという意味合いもあるとみられます。

宮司愛海キャスター:
ただ、ガリバフ国会議長は自身のSNSで「アメリカとの協議は行われていない。金融市場と原油市場を操作しアメリカとイスラエルが窮地を脱するためにフェイクニュースが使われている」と、投稿しています。
佐々木さん、本人もこのように否定していますが、どう見たらいいですか。

佐々木亮デスク:
仮に協議が進んでいるとしたら、まだ水面下の段階でイラン国内での調整がまだ済んでいないところなのかなとみられます。
イランではハメネイ師だけではなくて、実力派のラリジャニ氏など現体制の幹部が次々と殺害されていて、モジタバ師も表に出てきていない状況です。
従って、リーダーシップという、統制がきちんととれている状態ではないので、こういった状態でガリバフ氏自身が“イランを公式に代表しています”とは、なかなか言いにくいところもあるかもしれません。

青井実キャスター:
“仮に”と佐々木さんは言いましたが、もし協議が行われていた場合、気になるのは今後どうなっていくかですよね。

宮司愛海キャスター:
ここでもいろんな情報が出てきています。
まずイスラエルメディアですが、アメリカがイランとの戦闘終結日を4月9日に設定したと報じ、初めて具体的な日程が出てきました。そして、アメリカメディアによると、早ければ今週中にパキスタンでバンス副大統領も含めて、イランのガリバフ国会議長と対面交渉が行われる可能性があると伝えました。このアメリカのバンス副大統領ですが、イスラエルのネタニヤフ首相とすでに電話会談を行ったという報道も出ています。
こういった情報がいろいろあるわけですが、具体的に和平がどのぐらい進んでいくかその可能性はどう見ていますか?

佐々木亮デスク:
まずは交渉自体もイラン側とアメリカ側の主張の隔たりが大きいですが、それ以外にも2つの大きなハードルがあると思います。
1つは「イランの国内の事情」で、もう1つが「イスラエル」です。
イラン国内という意味では仮にもガリバフ氏が交渉役となった場合、果たして強硬となっている革命防衛隊を抑え込みながら交渉できるのか。これが抑え込めないとそもそも交渉になりません。
さらに、イスラエル側からもまだ目標が達成できていないと。その中で交渉なのか、という意見があります。
実際このようにネタニヤフ首相とバンス副大統領が電話会談をしたりしていますが、核の廃棄などの条件が盛り込まれないような中途半端な交渉の決着となれば、イスラエル側は納得できませんので、アメリカとイスラエルが一致して対応するためにも、このすり合わせも重要になってきます。

青井実キャスター:
イランとの協議もありますし、イスラエルともコンタクトして接触しなければいけない。また、いま3月24日なので、4月9日となると期間は結構長いですよね。

佐々木亮デスク:
まだ2週間以上ありますが、一説にはユダヤ教の祝祭を意識しているという見方もあります。しかし、2週間以上置いているということは、いわゆる軍事オプションですね。
「軍事的な作戦の継続」と「交渉の可能性」。この2つのオプションを同時に走らせながら続いていくということが考えられるかなと思います。

青井実キャスター:
山口さん、戦争を始めた時より状況が悪化しているように思えるわけですが、アメリカとしては早く落としどころを見つけて戦争終結にいきたいわけですよね。

SPキャスター・山口真由さん:
もちろん外交努力には期待したいんですが、昨年、ハメネイ師が“アメリカとの交渉は賢明ではない”と言っている以上、交渉する側も突き放された状態で、失敗したら全部そのリスクを負いますという覚悟で交渉してイラン側をまとめきらないといけない。果たしてガリバフさんにそこまでできるのか。

青井実キャスター:
トランプ大統領の正念場は続きそうです。