宮崎県延岡市沖合に位置する離島、島野浦島(しまのうらしま)。島の魅力を発信し、島外からの来訪者と島民との交流を促す拠点として、新しい民宿「アイランド ベース シマミ」がオープンした。人口約600人と減少の一途をたどる島にとって、約15年前に閉業した施設を事業承継したこの宿泊施設の誕生は、観光振興と地域経済活性化への大きな一歩となることが期待される。
非日常を味わえる「離島」
豊かな自然に囲まれた離島、島野浦島では釣りやシュノーケリング、トレッキングなどが楽しめる。
漁業が盛んなこの島には1950年代には約3500人が住んでいたが、現在は約600人にまで減少。そこで、漁業者などで作るNPOが観光案内所を開設するなどして観光客の誘致に努めている。
しまうら未来開発プロジェクト 木下拓磨理事:静かな夜だったり、朝の船の音とか、海のにおいとか、そういうものを感じて非日常感を島で味わってもらうのもすごくいいと思います。
島の魅力を見つける「シマミ」
しかし、島には宿泊施設が民泊の1軒しかなく、受け入れ人数に限りがあった。
こうした中、3月1日、島に新たに民宿がオープン。運営するのは、日南市で宿泊施設を運営する企業が、島に新たに設立した会社「瑠璃色」。15年ほど前に閉業した「民宿島野浦」を事業承継した。
民宿の名前は「アイランド ベース シマミ」。島の魅力を見つける、といった意味が込められているという。
4人部屋や2人部屋などがあり、この場所を拠点に島の魅力や島民との交流を楽しんでほしいとしている。
改修作業には島野浦学園の小中学生も「島に貢献したい」と、断熱材取り付けや清掃作業などで協力した。
支配人の岩根穂乃花さんは、島の人たちの期待を感じると話す。
アイランド ベース シマミ 岩根穂乃花支配人:島の方々に手伝っていただけるというのは、すごくありがたいことと思っております。島の方々と一緒に作り上げる、育てていく施設となればいいと思います。
オープン直前の2月下旬には、旅行をしながら仕事をする人が実際に宿泊し、清掃作業などを行った。国内42都道府県、海外30カ国を巡ったという大学生は、島の住民と交流し、温かさを感じられたと話した。
大学生 大芦さくらさん:皆さんすごく温かく、いつでも帰っておいでという感じで迎え入れていただいて、島の魅力を知るきっかけとして、この場所はすごくポテンシャル、可能性があると感じているので、これから来るお客様にはそういった体験をしていただけるんじゃないかと思います。
地域経済活性化へ期待
人口減少が続く中、延岡市島浦区の岩谷勇区長は、島外からの人たちとの交流が、フェリーなど交通機関の維持にとって重要だと話す。
延岡市島浦区 岩谷勇区長:どうしても今、人が少なくなったというので需要が少ないんですよね。島ですから、やっぱり船の関係とか、そういうのには関連して、メリットがあるんじゃないかなと思うんですけどね。
アイランド ベース シマミ 岩根穂乃花支配人:(島が)元気になるというだけではなくて、地域の経済を回していくとか、1人でも多くの方が笑顔になるような形になるといいなと思います。
人口減少という厳しい現実に立ち向かう島野浦島にとって、事業承継によって誕生したこの宿は、観光振興のみならず、航路などの生活インフラを守るための「持続可能な地域づくり」の大きな一歩だ。島民が期待を寄せるこの小さな拠点が、離島観光の新たなモデルとして、地域経済に確かな活力を注ぎ込むことが期待される。
(テレビ宮崎)