晩春の海辺の風物詩としても人気の潮干狩りだが、獲れるアサリに今、異変が起きている。
「全然、獲れないですね…」
福岡県の東部、周防灘に面した築上町の浜の宮海岸。ゴールデンウィーク期間中ということもあって潮干狩りを楽しむ人の姿が多く見られた。
春の大潮に合わせた潮干狩りは、ゴールデンウィークの人気のレジャー。熊手やシャベルで砂を掘り、お目当てのアサリを探す。浜の宮海岸では入場料500円で、2キロまでを持ち帰りことが可能で、訪れた人たちは、思い思いの場所で潮干狩りを楽しんでいた。

この海岸で採れる『椎田のアサリ』は、肉厚で甘みが強く、美味しいことで知られていたはずだったのだが―。

「全然、獲れないですね…。私の酒のつまみ程度、獲れればいいかな」(男性)。「網いっぱい獲りたいけど、なかなか…」(親子連れ)。期待したほどは、アサリが獲れていないようだ。

熊手を手に、実際に掘ってみた記者は「アサリは獲れましたが、いつも食べているものよりも少し小ぶりな気がします」と手のひらでアサリを転がす。

サイズを測ってみると約2.5センチ。本来、この時期は、産卵に向けて大きく育つ時期だが、サイズの小さなアサリが目立つ。

採取できるアサリについて、福岡県は資源保護のため「3センチ以上」と定めている。記者がアサリを探し始めて約30分。獲れたアサリは、やっと7個だった。
ピーク時から何十分の一以下に
築上町の担当者もアサリが数を減らしている現状に頭を悩ませている。築上町産業課の岡崎翼さんによると「ピークと比べると何十分の一になっているというのが正直なところ」なのだという。

「上手い方が獲って頂いたら、1kg~2kg、持って帰られる方はいるが、10個も獲れなかったと言われる方も一定数、おられますね。全国的に資源量減少していて、その資源量保護のために開場時期も短くしている」(築上町産業課 岡崎翼さん)。

国内のアサリの漁獲量の推移をみると、1983年のピーク時には16万トン余り獲れていたものが、2014年にはほぼ10分の1に落ち込んでいる。

更にその後10年では、年間約4400トンまで激減しているのだ。
アサリ減少は複合的な要素が原因
全国有数の産地となってきた豊前海周辺でも減少が続いていて、県などによると冬の波の高い時期に稚貝が流出していることや、エイによる食害、更には川から流れ込む栄養分の減少などが原因とみられている。

築上町産業課の岡崎さんは「地球温暖化や海面上昇という複合的な理由もあって、完璧に元の通りというのは難しいが、少しでも増やしていければ」と話す。

県や築上町は、潮干狩りで採取できる量に上限を設けているほか、稚貝を守る装置を開発するなどして、資源量の回復に取り組むとしている
(テレビ西日本)
