福岡・北九州市にオープンする施設で新たな挑戦が始まる。障害のある子どもを育てるシングルマザーとして生きる1人の女性が、子どもの将来を見据え、新たな一歩を踏み出した。

明るくオフィスのような雰囲気だが…

北九州市小倉北区のJR城野駅近く。この場所に2026年6月、新たな施設がオープンする。パソコンが、ずらっと並んで、明るくてオフィスのような雰囲気。いったいどんな施設なのか。

就労継続支援B型事業所『でじるみ』(北九州市)
就労継続支援B型事業所『でじるみ』(北九州市)
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「『でじるみ』といって、就労継続支援B型事業所です」と消化してくれたのは、代表の髙木美奈さんだ。

就労継続支援B型事業所とは、障害や難病などで一般就労が難しい人が、自分のペースで働いたり学んだりできる福祉サービス。なかでも『でじるみ』の特徴は"デジタル特化型"であることだ。

具体的にはどんなことをするのか。代表の髙木さんによると「デジタル業務中心の事業所。まず文字の打ち込み作業から始めてもらい、それができるようになれば画像生成のソフトを使ってSNS画像などを作っていく」と話す。

『でじるみ』では、個々のスキルに合わせた作業が用意され、上達していくと動画編集やSNSの運用、アニメーション制作やオリジナルキャラクターを描くこともできるようになるという。

それをラインスタンプで販売したり、グッズを作成してイベントに出店したりするのだ。

SNS発信に大きな可能性

髙木さんは、子育て世代向けの広告事業やイベント企画を手がける会社『ちゃむず』という会社も運営している。そのSNSのフォロワー数は2万5千人を超えている。

「SNSで発信することによって、実際に収益に繋がっている。なのでSNSの細かいところまで教えていきたい」(『でじるみ』代表・髙木美奈さん)。

SNSでの発信が、実際の収益に繋がること。そして、デジタル業務なら自宅でも働ける点に可能性を感じ、スキル習得だけでなく収益化までサポートするこの施設を立ち上げた。

さらに髙木さんは障害者本人だけでなくその家族もスタッフとして働けるようサポートしている。

まず口に出るのは謝罪の言葉

その1人、木村愛美さん。「実は、私も息子が自閉症という知的障害を持っている子で、髙木さんも同じシングルマザーということで、意気投合したところもあって働いています」と話す。

1年半ほど前に離婚し、シングルマザーとして息子の湊くんを育てている。湊くんは、3歳の時に自閉症と診断された。

「こういう子を育てるなかで、ダントツで言う言葉が『すみません』『ごめんなさい』とか謝罪の言葉。それが一時期、苦しかった」

「シングルマザーって、1人で稼いでいかないといけないという責任感があるなかで、収入面で大変な思いをたくさんしてきた」と木村さんは話す

胸を張って『お母さん頑張ったよ』と…

しかし「『どうして自分だけが』って思ってしまうと落ち込んで行く一方なので、私だけじゃないと思って…」と木村さんは、考え方を変え、ある活動を始めたという。

現在、障害のある子どもたちとその家族が気兼ねなく遊んだり寛いだりできる出張型プレイルームを運営する一般社団法人でも木村さんは活動している。そんな木村さんが『でじるみ』で働くことを決めた理由は"子どもの将来"だった。

「自分の子が大きくなった時、働く場所は、常に意識していて、働いて欲しいけど、それができない子のケアは、その家族のケアにもなると思って」(『でじるみ』木村愛美さん)。

さらに木村さんは今、新たな資格取得を目指している。福祉の事業をするにあたって『サービス管理責任者』と『児童発達支援管理責任者』という2つの管理者。実務経験がないと取れない資格で、そこを目指そうとしているのだ。

「息子に5年後でも胸を張って『お母さん頑張ったよ』って言えるような働き方をこれからやっていきたい」

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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