3月25日からチェコ・プラハで開幕する世界フィギュアスケート選手権。
「世界一」の称号と来年の世界選手権の出場枠がかかった、今シーズンを締めくくる重要な一戦だ。
この大会を最後の舞台として、今シーズンで引退を決めているのが、ミラノ・コルティナ五輪団体・個人銀メダリストの坂本花織(25)だ。
4歳からフィギュアスケートをはじめた坂本のそばには、いつも一緒に見守ってくれる中野園子コーチがいた。将来は「中野先生みたいになりたい」と話す坂本と、コーチの絆を追う。
一瞬一瞬をこの目に焼き付けて
2月に行われたミラノ・コルティナ五輪。個人戦に先駆けて行われた団体戦、みんなの笑顔の真ん中にはいつも坂本がいた。
キスアンドクライでも陽気に、そして笑顔で日本代表を盛り上げる坂本の姿が印象強く残っている。
「最後のオリンピックなので、一瞬一瞬を楽しんでこの目にしっかり焼き付けようという気持ちで過ごしていた」
大黒柱として、選手の支えになっていた日本のエース、坂本だが本人には「引っ張ってきた」感覚はないようだ。
そんな坂本のことを中野コーチは、「小さい時からそういった選手で、『やめたら』と言っているのに応援してしまうぐらい仲間を大事にするタイプ。彼女らしいオリンピックだったと思います」と語る。
迎えた個人戦、そこにはいつもの笑顔がなかった。ショート2位で迎えた坂本のフリーはエディット・ピアフ『愛の賛歌』。21年間のスケート人生を表現したプログラムだ。
前半はジャンプを完璧に決めていくが、後半の連続ジャンプが単独ジャンプになってしまうまさかのミス。結果は銀メダルに終わった。
演技後、やや悔しそうな表情をしながらも、歓声に応えるような笑顔も見せていたが、リンクを降りて中野コーチと抱き合うと涙があふれた。
